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佐賀県玄海町でバイオガス発電事業 カンサイホールディングス


週刊経済2022年5月3日・10日発行合併号

事業費22億円で発電所建設

電設資材卸売の九州最大手、㈱カンサイを中核事業会社とする㈱カンサイホールディングス(福岡市博多区東比恵3丁目、忍田勉社長)は3月、佐賀県玄海町でのバイオガス発電事業に出資し、来年7月の発電開始を目指して同発電所を4月1日に着工した。
同社グループではHDを主体にエネルギーマネジメント事業を強化し、2020年には初期投資をほぼゼロにした独自の省エネソリューションなどを展開する合弁会社、KMパワー㈱を始動していたが、3年ほど前にプラント事業などのシンコー㈱(北九州市)や環境調査・コンサルティング業の㈱TRES(福岡市)から同事業参画への打診があった。同事業は長年にわたって家畜排せつ物の処理に困ってきた畜産農家からの強い要請を受けたもので、温室効果ガス削減に寄与するだけでなく、畜産農家の労力や家畜排せつ物の臭気の軽減につながるため、社会課題解決の観点から出資を決めた。同事業は当初は21年度の計画だったが、新型コロナの影響などで遅れ、今年4月1日に着工。事業費は約22億1千万円で、来年3月の完成、同7月から発電開始予定。計画では、町内の乳牛や肉牛のふん尿を1日約110トン受け入れ、ふん尿を温めて生じた発酵ガスでエンジンを回し発電する。その発電量は一般家庭約45百世帯分に相当し、二酸化炭素はふん尿をそのまま放置する時と比べて年間約3705トンの削減を見込んでいる。
同事業は肉用牛や乳用牛、養豚などの各畜産農家から回収した家畜排せつ物やおが粉を主原料とした、乾式のメタン発酵バイオガス発電事業で、「玄海町バイオマス産業都市構想」の一環を占める。カンサイHDとTRESが出資して特定目的会社(SPC)の玄海バイオガス発電㈱を同町に設立し、社長に忍田カンサイHD社長が就任した。一般社団法人グリーンファイナンス推進機構も、牛や豚の家畜排せつ物を混合活用した事業の先進性を評価し、事業が成功した場合にはバイオガス発電事業全体への波及効果も期待できる点などを踏まえ、玄海バイオガス発電に優先株式にて出資した。また、畜産農家の部会長との共同出資によって別途に設立された玄海バイオ㈱が家畜排せつ物の処理などを行うほか、玄海バイオガス発電では玄海町とも地域防災協定を締結し、固定資産税減免などの支援を受ける予定。