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介護総合管理システムのLIFE対応版を提供開始 芙蓉開発
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週刊経済2022年6月7日発行
科学的介護の促進図る
医療機器製造販売などの芙蓉開発㈱(福岡市博多区山王1丁目、野中美和社長)は6月1日から、高齢者向けICT健康管理システム「安診ネット One」のLIFE対応版の提供を開始した。
4月より厚生労働省が介護業界向けに推進する、「科学的介護情報システム(=LIFE ライフ=Long―term care Information system For Evidence)」の運用開始に合わせて販売するもの。LIFEでは、各施設や事業所などの利用者の実施したケア内容、利用者の状態などのデータを入力すると、厚労省がデータを蓄積、分析し、ケア改善にフィードバックされる。また21年度介護報酬改定でも、「科学的介護推進体制加算(LIFE加算)」が新設されたことで、従来の要介護度の報酬評価からエビデンスに基づく介護の評価が反映されることになった。
同社は2008年から、重度化防止を目的に、個々人の心拍数、呼吸数、血圧、体温をAIで分析し、トリアージ(ケアの優先度)を赤・黄・緑で表示するICT健康管理システム「安診ネット」を開発・販売・運用している。LIFEの運用開始を踏まえ、LIFEのフィードバックの活用において属人的対応だけでは難しいため、AI健康管理で重度化防止の実績を持つ「安診ネット One」に、自立支援に関する新システムを組み合わせ、LIFE対応のDXシステムとなる「介護総合管理システム:安診ネットOne LIFE対応」を提供。AI開発のデータ収集のため数年間は無料。従来の介護システムの介護士、ケアマネ、事務だけでなく、リハビリ、栄養士、看護師、医師、経理といった施設内の全職種に対し、業務負担を減らす専用のサポートシステム機能を追加した。さらに入力データより、従来の健康リスクに加えて、利用者のリスクや変化がピックアップされる情報共有機能を搭載し、現場はシステムに従うと自然と科学的な介護に促され、業務を削減しつつ、「自立支援・重度化防止の成果」が得られるようになる。同社は販売に先駆け5月11日、介護総合管理システム「安診ネット」のLIFE対応に関する発表会のYouTube配信を実施。芙蓉グループ代表で安診ネット事業部責任者の前田俊輔氏が「科学的介護に取り組むことで、利用者の状態を改善すると報酬が下がるという矛盾が正されようとしている。個人最適化した自立支援、重度化防止により、『お世話介護』から『良くする介護』への方向性を示したい」と語った。
同社は1986年4月設立。グループに病院・介護施設を持ち、その現場のノウハウを商品開発に生かしている。資本金は2千万円。従業員は14人。