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五輪イヤーで九州への観光客の流れ継続目指す 青柳俊彦JR九州社長
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空中都市構想は「今年何らか発表できれば」
九州旅客鉄道㈱(福岡市博多区博多駅前3丁目)の青柳俊彦社長は、ふくおか経済新年号インタビューに応じ、2020年を「オリンピック、パラリンピック期間中も外国人客を九州へ取り込めるか。大会閉幕後も九州へ外からの観光客の呼び込みを継続できるか大切」とポイントを説く。福岡東総合庁舎の敷地有効活用事業などの再開発にも計画を語り、「博多駅空中都市構想」に関しては「今年中に何らかの発表が出来れば」と期待感を示した。
—2020年はどのような1年に。
青柳 国内ではここ数年日本人がターニングポイントのひとつと捉えていた東京オリンピック、パラリンピックが開催され、観光需要ではひとつのピークを迎えることになるとも言われている。しかし、少なくとも九州はそのようなことはないと私は考えている。オリンピック、パラリンピック期間中でも、いかにして外国人のお客さまを九州にも取り込むか。そして、大会が閉幕しても九州へ外からお客さまを呼び込み、インバウンドの盛り上がりを継続させることができるかが大切。地方都市の鉄道会社として特に今年はその役割が大きいと感じている。
熊本と宮崎では駅ビルを中心としたまちづくりが進み、それぞれ今年完成へと向かう。そのほか、夏には博多と韓国・釜山を結ぶ新型高速船「クイーンビートル」が就航。そして秋には、九州7県をさまざまなルートで巡る新たな観光列車「36ぷらす3」の運行スタート。これは、約3年半ぶりのD&S列車で、九州への観光客の勢いを持続させたい。国内経済は一時的なピークを迎えるかもしれないが、インバウンドはこれからも伸び続けると見ており、九州全体でその灯を絶やさないようにしたい。
—福岡県の福岡東総合庁舎敷地有効活用事業について。
青柳 福岡東総合庁舎(同市博多区博多駅東1丁目)再開発は、当社のほか、福岡地所㈱(同区住吉1丁目、榎本一郎社長)、㈱麻生(飯塚市芳雄町、麻生 巌社長)の計3社で担うことに。これまでさまざまな再開発に携わってきた3社ですので、経験を活かし、博多駅筑紫口側のにぎわいにつながるオフィスビルになればと思う。
福岡東総合庁舎(敷地面積2638㎡)は、約35年前に建てられた地上5階地下1階建ての建物。この建物を新たに、地上11階、地下1階建ての高機能を備えた賃貸オフィスビルへ生まれ変わらせる提案をした。延べ床面積は約1万8700㎡で、1階は、地元県産食材や県伝統工芸品を活用したカフェを出店し、エントランスホールにはデジタルサイネージを設置することで、周辺の観光情報を発信できればと考えています。外観は県産木材の活用や、緑地整備も計画しています。2、3階は博多県税事務所が入居することが決まっている。新ビルは2024年3月ごろの完成を予定しており、今後、来年4月に解体作業に着手、22年3月ごろから着工する計画。
—簀子小学校の跡地活用事業は。
青柳 福岡市中央区大手門3丁目にある跡地(敷地面積約8560㎡)の再開発に、㈱桜十字(熊本市南区、梶正登代表取締役)を代表とする8社で構成された企業グループが選定された。
桜十字が慢性期病院と住宅型有料老人ホーム(介護型)、デイケアなどで構成する11階建て「病院棟」(延べ床面積1万3500㎡)と、地域の皆さまも利用できる体育館(同約790㎡)を建設。当社は、これまで展開してきた住宅型有料老人ホーム「SJR」シリーズを核に、ドラッグストアや災害時の拠点としての役割も担う地域交流センターなどで構成する13階建て「高齢者施設棟」(同1万2700㎡)を建設する計画。今年3月に事業契約を締結し、2024年1月の開業を目指す。お互いのこれまでのノウハウを生かした地域のにぎわいづくりと高齢者向けサービスを展開できればと考えている。
—昨年発表した「博多駅空中都市構想」の進ちょく状況は。
青柳 開発期間の検証やコスト、工法について調整している段階。今年中にはぜひ、何らかの発表ができればいいなと考えている。機能はオフィスやホテルを中心とする構想。博多駅エリアの各機能とバランスを取りながらやっていきたい。
—博多コネクティッドを中心に、博多駅周辺の今後のまちづくりの展望は。
青柳 天神ビッグバンは容積率や高さ制限の緩和などボーナスが魅力ですが、博多はやはり高さの制限がありますので、その点をどのようにカバー出来るかがポイントになる。博多コネクティッド対象エリア内で築年数が経過した不動産を所有する企業さまとともに建替えや再開発を推進していければと思っている。
博多駅を活性化したい思いから立ち上げた「博多駅エリア発展協議会」ですが、そもそも周辺エリアは空いている土地が少なく、地価も上がっている状況です。従いまして、自社に関しては空中都市を活用し、エリアのさらなる発展へとつなげたい思いはあります。
2020年1月7日発行