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九州・山口ベンチャーマーケットで大賞 オングリットHD


週刊経済2022年12月6日発行

新設の「GXベンチャー賞」も受賞

橋梁等の点検業務、CAD制作などを手掛けるオングリットホールディングス㈱(福岡市博多区上牟田1丁目、森川春菜社長)は、10月24日に開催されたビジネスプラン発表会「九州・山口ベンチャーマーケット(KVM)2022」で、スタートアップ部門の大賞を受賞した。
KVMは、九州・山口各県のベンチャー企業と九州・山口・国内外のビジネスパートナーのマッチングの場として開催されるイベントで、今年で8回目。ピッチコンテスト等を通じてベンチャー企業の資金調達や販路開拓を支援する。スタートアップ部門では各県予選で選ばれた9社が登壇し、同社は「インフラ監視システム」で大賞を受賞した。通常、街灯や標識などの点検には高所作業車が使用されるが、全数点検で実際に損傷が見られるのは約1%だという。こうした状況を踏まえ、同社ではAIを活用し、設備のさびや落書き、歪みなどの異常を検知できるシステムを開発。走行中の車両に搭載したカメラでデータを収集し、地図データとリンクさせることで、対処が必要な箇所を可視化し、点検業務の効率化を図る。専用の車両は必要なく、ごみ収集車やバス、タクシーなど日常的に走行する車にも搭載することができるという。高所作業車の使用頻度を減らすことでCO2排出量削減につながる可能性も評価され、脱炭素社会への貢献が期待されるビジネスプランへの賞として新設された「GXベンチャー賞」も受賞した。システムはすでに広島県での導入実績があり、今後は検知できる対象物や内容の拡大を目指す。
森川社長は「IT・DX化の流れの中で、インフラ点検に関連する法令についても、デジタル活用に向けた条項の改正が進んでいる。今回のダブル受賞を弾みに導入をさらに拡大し、脱炭素社会に貢献していきたい」と話している。
森川社長は大阪市出身。1986年1月9日生まれの36歳。大阪市立泉尾工業高校卒。趣味は旅行。
同社は2018年3月設立。資本金は2億3600万円(資本準備金含む)。従業員は約40人。