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九州の航空輸送拠点を北九州空港に ヤマトホールディングスと日本航空


週刊経済2022年2月8日発行

羽田・成田間に航空貨物専用機導入で

ヤマトホールディングス㈱(=ヤマトHD=東京都中央区、長尾裕社長)と日本航空㈱(=JAL=東京都品川区、赤坂祐二社長)は1月21日、首都圏と北海道、九州、沖縄地域間の長距離輸送に貨物専用機を導入することを発表、九州の航空輸送拠点に北九州空港を選定した。
両社は地球温暖化対策によるモーダルシフトやトラックドライバー不足、少子化に加え、コロナ禍による航空旅客需要の減少などの経営課題に直面する一方、Eコマースの台頭による物流のニーズが高いことから、貨物専用機を活用した新たな輸送モードを構築することになった。貨物専用機は羽田・成田間と新千歳、北九州、那覇に就航するもので、使用機材は中古旅客機を貨物専用機に改修したエアバスA320ceoP2F型機。最大積載重量は10トンラックの約5~6台分に相当する28トン。ヤマトHDが3機を導入し、JALグループのジェットスター・ジャパンが運航する。2024(令和6)年4月の運航開始を予定している。
路線の誘致に力を入れてきた北九州市港湾空港局空港企画課では「九州における航空貨物の拠点が福岡にある中、九州の拠点空港として北九州空港を選定していただいたことは大きな成果」と強調した上で、「九州・西中国における物流拠点空港として大きく前進させたい」と展望を述べた。市によると、今回の拠点化で①空港での貨物上屋機能の新たな設置による物流拠点機能の強化、②新規雇用の創出、エアポートバス・空港内商業施設の利用促進、③航空輸送のスピード感が生産地と消費地の距離を縮めることで、市民のニーズを高めることや、地域産業の競争力向上、産業集積に大きく貢献するなどの波及効果を期待しているという。
06年に開港した現在の北九州空港は、24時間運用可能な海上空港として、航空貨物の定期便の誘致活動に取り組んでおり、近年ではANAホールディングス傘下のANAカーゴが北九州―那覇間に就航(現在は運休中)したほか、大韓航空が米国と韓国・仁川空港間の経由便で就航後、仁川―北九州間を週4便で定期便化している。