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九州の「県民割」隣県に対象拡大 九州7県と九州観光推進機構


週刊経済2022年1月12日発行

九州全県への拡大目指す

福岡県(服部誠太郎知事)と大分県(広瀬勝貞知事・九州地方知事会会長)、一般社団法人九州観光推進機構(福岡市中央区渡辺通2丁目、唐池恒二会長)は12月22日に合同記者会見を開き、九州各県で実施している「県民割」の隣接県への対象拡大と、今後の九州全域への対象拡大に向けた方針を示した。
観光庁では、GoToトラベル事業停止中の観光需要喚起策として、在住県内の旅行を対象とする「県民割」を実施しており、11月19日以降、感染状況が落ち着いている県に限り、隣接する県の在住者も対象に追加している。12月末現在、福岡県の「福岡の避密の旅」第4弾では佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、山口県の在住者も対象となっている。加えて年明け以降、地域ブロックへの拡大や、新たなGoToトラベル事業を実施していく方針を表明した。こうした動向を受けて、九州各県の観光関連団体・企業では九州観光促進に向けた情報発信などの取り組みを進めており、国による地域ブロックへの対象拡大が決まり次第、九州域内の「九州割」を実施する方針。仮に感染者数の拡大が起こった場合は、県民割や隣県割に戻すなど、弾力的な対応を取っていくという。
広瀬知事は「県民割による旅行需要は限定的。もともと域内観光が盛んな九州では、対象を地域ブロックに拡大した〝九州割〟が必要として、九州7県知事と九州観光推進機構との連名で、国に段階的な対象拡大を要望した。これを汲んでいただき感謝している」、服部知事は「九州全域で活用できる観光キャンペーンを展開し、地域と事業者が一緒になって観光プロジェクトに取り組んでいこうとお話ししたところ、唐池会長、九州知事会会長の広瀬知事にも応じていただいた。九州がいち早く回復を成し遂げるためにも、盛り上げていきたい」と経緯を説明、唐池会長は「21年6月に九州観光推進機構の会長に就任して以降、コロナ禍の収束が見え始めたら、九州域内の観光を促進する制度をつくっていきたいとお話しすると、7県ともに同じご意見だった。『九州割』という言葉は今日初めて出した言葉だが、積極的に広めていきたい。全国的にはブロック割の方針が固まっていない中、国からゴーサインが出れば、ロケットスタートを切る準備ができている。九州地域戦略会議によって各県の連携のベースがあったことで、九州がトップを走ることができる」と話した。
会見時に示された21年1月から9月までの九州の観光消費額は、19年同期比で69%減の6927億円(1兆5147億円減)、延べ宿泊者数は同54%減の1706万人泊(1989万人泊減)、直接入国外国人数(インバウンド)は同99・9%減の5千人(341万人減)。九州観光推進機構によると、2019年の九州内の宿泊者数約5千万人泊のうち半分が九州在住者で、「九州割」によって約2500万人泊を母数に回復を見込むという。