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九州、大湾区、ベトナムとの新たな経済連携を 香港中華総商会のジョナサン・チョイ会長


週刊経済2023年9月20日発行号

 日本の経団連に相当する香港中華総商会のジョナサン・チョイ会長(新華集団会長)が4年ぶりに福岡市を訪問したことに合わせ、本誌単独インタビューに応じた。チョイ氏は8月29日から31日の日程で福岡入り。香港中華総商会、広東香港澳門(マカオ)大湾区企業家連盟、香港ベトナム商工会議所のメンバーとともに九州経済連合会や九州大学、福岡県庁などを訪れ、歓迎昼食会やMOU締結、講演会などに参加した。
―福岡市を訪れた目的は。
チョイ 福岡を訪れた目的は2つある。まず友達に会うこと。実際に対面で会うことにより、旧交を温め、将来にわたって友情関係を築くこと。2つ目は九州経済連合会とのMOU(覚書)を締結すること。今回、香港中華総商会、広東香港澳門大湾区企業家連盟、香港ベトナム商工会議所の3団体でミッションを構成した。九経連と香港中華総商会とはMOUを締結しているので、今回は広東香港澳門大湾区企業家連盟とのMOU締結を目指す。
―今回のミッションに香港ベトナム商工会議所のメンバーが加わったのは。
チョイ 私が会長を務める新華集団はベトナムで水産業やコーヒー栽培、ベトナム最大の投資ファンドを運営していることがきっかけ。在ベトナム企業の視点で同国の経済発展に貢献している。九州、大湾区、ベトナムとの国際的な地域経済連携が進むことを期待したい。
―交流する上で大きなテーマとなるのは。
チョイ まずは農水産物の輸出に関する問題。ご承知のように、香港にとって九州は重要なマーケット。しかし、福島における処理水問題で中国政府は日本からの水産物を全面的に禁止することを発表するなど外交政治問題に直面している。ただ、香港政府は現在、日本の10都県以外からの農林水産物を輸入しているが、北海道や九州の農水産物については安全性を確認した上で引き続き輸入を受け入れる方針を打ち出している。従って、九州産についてはこれからも輸入を受け入れていきたいこと、積極的なプロモーション活動にも協力していくことを申し上げていきたい。同時に食の安全・安心については日本政府の責任としてしっかりした対応を講じていただきたいことを伝えていきたい。
―コロナの行動制限が緩和され、双方の往来がスムーズになっている。対面での交流が活発になることの期待感は。
チョイ 大いに期待している。コロナの期間中でもオンラインによる交流はできていたが、単に情報や意見の交換しかできない。一方、対面交流はより事務的な話もでき、相手との距離を縮めることができる。私たちがビジネスを進める上で最も重要視している“関係(グアンシー)”、良好な人間関係を構築することにつながる。今回、20人くらいのメンバーが訪問団として福岡を訪れたが、食やテクノロジーなど各分野で具体的で深い話ができることを期待したい。