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主軸の人材教育事業が順調に成長 伊井田栄吉㈱ワールドホールディングス会長兼社長


週刊経済2022年12月27日発行

―22年12月期の業況については。
伊井田 順調に推移した。第2四半期の決算発表時に通期予想を上方修正し、12月連結決算の売上高は当初予想比6・6%増の1800億円、営業利益は34・5%増の84億円を見込んでいる。特に人材教育ビジネスは順調に成長できた。
―人材教育ビジネスを、プロダクツHR、サービスHRに分けたが。
伊井田 プロダクツ系では、我々が得意とする半導体関係で大口受注があるなど、かなりいい結果が出た。強みである請負化をより進めたことや人材育成等による生産性向上で利益率も上がり、今回の結果につながったと思う。
サービス系は、主力の物流分野において新拠点開拓が順調に進んだことに加え、コロナ禍の沈静化とともに2つ目の柱であるツーリズム分野のオーダーも増えてきている。また、ハイレベルな接客販売サービスを提供する㈱ディンプルをグループに迎え入れ、接客販売分野に本格的に参入した。これを3つ目の柱とすることで、サービスHRの成長基盤が出来た。またプロダクツ系は比較的長期、サービス系は比較的短期という違いがあり、働き方も違うため、それぞれに特化した人事制度、戦略システムを採ったことも奏功している。
―人材教育ビジネスの課題は。
伊井田 人手不足の中、適切な人材の確保、育成が大きな課題だ。また、この人材ビジネス業界は、もはや単なる労働力の穴埋めではなくなっており、現在はクライアントとともに人事戦略を担うようになっている。人材ビジネス企業が担う役割は一段と大きくなっていると感じている。
―不動産も好調に推移した。
伊井田 不動産業界がバブル的な状況にある中で、的確な販売タイミングを見極めながら進めている。不動産は1~2年後の仕込みがほぼできているので、時流を見極めながら、常に身の丈に合った戦略で、適正規模を目標にしている。
ただ、このバブル的な状況が続く中、当社はこの数年間慎重なスタンスで進めてきた。特に仕入れに関しては慎重に進めているが、我々の場合、人材教育ビジネスと連動したМ&Aの手法を採り入れた独自の不動産取得方法等を持っているのが強み。他社ができないような買い方ができることで、想定した売り上げ、利益を達成できる下地が出来ている。
―新年で注目する事項は。
伊井田 熊本の半導体関連の動きはインパクトがあった。そこから九州全体が刺激を受け、派生していくものについてはかなり期待できると思う。
―今期からスタートした中計について、1年経っての感想は。
伊井田 順調にスタートできたと思う。数値的な結果もあるが、「人が活きるカタチ」を創造する企業としての社会的役割がより大きくなった1年だったと感じている。これからも中計で定めたパーパスの通り、世界中にあらゆる「人が活きるカタチ」を創造することで、人々の幸せと社会の持続的発展を実現していく企業としてまい進していきたい。