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世界基準の大学づくりへ、各学部の国際化目指す  九州大学・石橋総長


来年医学部のWFME認証へ

九州大学(福岡市西区元岡)の石橋達郎総長は12月1日、ふくおか経済新年号インタビューに応じ、2021年(令和3)年の抱負に「世界基準の大学づくりを目指し、各学部の国際化を目指す」などと語った。主な内容は次の通り。
―10月に新総長に就任。意気込みやこれまでを振り返って。
石橋 3カ月が経過し、大学関係者や医学界だけでなく、財政界の方々とも関わる機会が増え、たくさんの激励の言葉をいただいた。改めて重責を感じています。大学のトップとして国や地方自治体、企業との連携や財政基盤を強化し、学生、教職員が活躍できる環境整備を進める。
本学は全分野において世界のトップ百大学を目指し、世界基準の大学への発展を進めていく。そのためにまず、各学部の国際化を進める。中でも医学部は2021年、WFME(世界医学教育連盟)のグローバルスタンダード認証を受ける予定。また、留学生の受け入れも今後専門の推進室を立ち上げることで、さらなる受け入れ拡大につなげたい。
―2020年で印象に残っていることは。
石橋 やはり、新型コロナウイルスの感染拡大です。入学式は中止となり、一時はキャンパス内の立ち入りも禁止する対応をとり、9月下旬に感染対策を徹底した上で午前、午後に分けた「歓迎式」を開いた。
講義は秋学期もオンラインを中心に実施し、対面形式は3割。医学部や理系の実習は対面でしか行えないものも。来年春には対面講義を5割にまで戻したい気持ちはあるが、感染状況次第になる。
―コロナ禍で九大発ベンチャー・KAIKO㈱(福岡市、大和健太社長)が注目を集めた。
石橋 同社はカイコの中にあるタンパク質を活用し、新型コロナウイルスの遺伝情報をもとに、本学と共同でカイコの体内でワクチン候補となるタンパク質の開発成功したほか、抗体の有無を調べる検査キットの開発に着手するなど新型コロナ用のワクチンへの展開が始まった。
九大では約100年前からカイコを用いた研究をしており、農学研究院で飼育するカイコの中にも新型コロナに対応できるタンパク質を大量に造り出せる種があることが分かった。九大発ベンチャーが研究リソースを用いて大きな成果を発揮したことは大変意義深い。

2020年12月15日発行