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世界初となるカラー電子顕微鏡を開発  九州産業大学    2年後製品化を目指す


 九州産業大学(福岡市東区松香台2丁目、山本盤男学長)「医療診断技術開発センター」(磯部信一郎センター所長:工学部物質生命化学科教授)は3月18日、蛍光色素を用い7000倍の高倍率でカラー画像が得られる世界初のカラー電子顕微鏡を開発したと発表した。
 同センターは2014年10月、DNA検出や免疫組織の化学染色、疾病診断に欠かせない蛍光色素を活用した医療診断技術の向上を目的に開設。磯部所長を中心に自ら開発した国産初となる免疫染色用蛍光色素「フローリッド‐W」の性能強化や新たな蛍光色素の開発、それに伴うカラー蛍光電子顕微鏡の開発、がん診断などの疾病診断アプリケーションの開発を手掛けてきた。
 名称は「蛍光電子顕微鏡(FL‐SEM)」。同顕微鏡はカラー画像が得られる光学式顕微鏡と走査型電子顕微鏡を組み合わせ、それぞれで撮影した画像を合成処理する試料自動移送型顕微システムを導入した「相関電子顕微鏡」方式を採用しているのが特徴。「これまでは2種類の顕微鏡間で試料を移動する際の位置合わせが難しく、数百倍程度の実効性能しか得られなかった」(同センター)ことから、自動ロボットアームを開発し、精密な調整が実現したことで高倍率のカラー画像撮影に成功した。医療診断分野では細胞を蛍光染色することでより詳細に観察することが可能になり、かん診断や新たな感染症に対する新薬開発にも貢献するという。
 磯部センター長は「今後、さらに精度を向上させ、2年後には2万倍の解析度を持つ蛍光電子顕微鏡の製品化と高耐性の蛍光試薬技術開発を目指す」と話している。