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世界初、汚泥原料の水素ステーション開業  福岡市など4者    商用として一般開放


 福岡市、三菱化工機株式会社、九州大学、トヨタ通商株式会社が4者共同で中部水処理センターの敷地内(福岡市中央区荒津)に建設していた実証用水素ステーションが3月31日に開業した。
 国交省の認可事業(下水道革新的技術実証事業)として4者共同で実証が進められてきた施設で、水処理施設の汚泥から発生したバイオガスを原料に、FCV(燃料電池自動車)に水素を供給する世界初の試み。1日3300立方m、FCV65台分に相当する水素を製造できる。製造過程で発生するCO2を液化回収できる機構を採用しており、空気中に排出しない点が特徴。「究極のエコカー」と呼ばれるFCVの環境性を高めるとともに、回収したCO2はハウス栽培等で再利用する予定。また、実証事業ながら一般向けのFCVに水素を供給するとしており、福岡市内では初の商用水素ステーションになる。
 同日の開業式典で高島市長は「捨てられる汚泥を燃料に変える、まさにSF映画のような新技術が実現した」と語り、「市民が生み出した水素でFCVを走らせることができるという点で、大変意義がある」と強調した。また、事業に参画した九州大学の佐々木一成教授は「水素を生み出す課程でCO2が発生することは、『究極のエコカー』であるFCVの大きな課題でもあった。それを払拭できる技術が、早期に具体化したことは嬉しい」と感想を述べた。