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世界初、ハナビラタケ全ゲノム解読に成功 九州産業大学


東京女子医科大と共同で

九州産業大学(福岡市東区松香台2丁目、榊泰輔学長)は10月30日、東京女子医科大学(東京都新宿区、吉岡俊正学長)と共同研究を行い、漢方薬として使用されてきたキノコの一種「ハナビラタケ」の全ゲノム(遺伝情報)解読に成功したことを明らかにした。同解読の成功は世界で初めてという。
ハナビラタケは国内では「幻のキノコ」と呼ばれ、希少価値が高く和食の食材として利用されているほか、海外では「カリフラワーマッシュルーム」と称しフランスや中国などで高級食材として利用されている。また、天然のハナビラタケは古くから漢方薬として使用され、抗がんおよび殺菌、血管新生抑制、血糖降下、インスリン分泌促進、免疫活性作用などが報告されている。早くから、がんや感染症、糖尿病などに対する予防・改善効果があると注目されてきたが、その薬理作用は科学的に解明されておらず、医薬品として利用するために全ゲノムを解読し、遺伝子レベルでの有効性を解明することが望まれていた。
同研究は木山亮一九州産業大学生命科学部教授と古谷喜幸東京女子医科大学循環器小児科研究員が共同で実施。全ゲノムが1万3157個の遺伝子で形成していることを解明したほか、免疫活性化に効果があるとされる「ベータグルカン」などの有効成分に関わる遺伝子群を発見した。また、動脈硬化に有効と考えられる女性ホルモンと同様の作用を示す成分「サイレントエストロゲン」の存在も確認している。
同研究グループの研究成果は、同日付で英国の科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ電子版」に掲載されており、九州産業大学では今後、製薬会社や食品会社など広く連携し、臨床応用や創薬への利用を進めていく方針。

2018年11月13日発行