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不動産強化で「オール電化マンション」開発へ 九州電力


池辺社長インタビュー抜粋

九州電力㈱(福岡市中央区渡辺通、池辺和弘社長)は本誌1月号の「新年トップインタビュー」に応え、新たに都市開発・不動産を強化する方針などを語った。以下、インタビューを抜粋。
―就任初年度の2018年を振り返って。
池辺 就任直後から台風7号、西日本豪雨などの九州管内の災害対応が発生し、例年にも増して災害が多い1年だったと思う。全国でも台風21号や北海道地震で大規模な停電が発生しており、改めて電気というインフラの大切を再認識するとともに、その安定供給を担う立場の重責を噛み締めている。
―2019年の抱負について。
池辺 「競争環境課での販売拡大」が目下第一の目標。19年は年間を通じて原子力4基体制になるほか、12月には高効率の石炭火力発電所「松浦2号」が運転を開始する。これら競争力が高い電源を最大限活用して、反転攻勢をかける1年にしたい。新電力各社が攻め、当社が守るイメージが先行した感があるが、「九州電力は決しておとなしい会社ではない」と思われるくらい、全社員による営業活動を強化していく。
―電力以外の分野で強化したい事業は。
池辺 最近、都市開発部門の体制強化と不動産事業の強化を図る方針を掲げたので、19年は具体的な行動を起こす1年にしたい。この狙いは不動産のシェア開拓というよりは、「電化」の推進が主目的。住空間やオフィスにおける電化を推進し、電気というエネルギーの有用性を発信していく。当社には九電不動産、電気ビル、九州メンテナンスという不動産関連会社があるが、横の連携が十分ではなく、新規開発も控えめだった。このたび、本社内に不動産事業推進グループという統括セクションを設けたので、九電グループ一体で新ブランドの不動産を開発していくつもり。
―具体的にはどういった開発を。
池辺 まずは「オール電化賃貸マンション」の開発を始める。新築住宅において、戸建住宅ではオール電化の採用率は7割を超えているが、共同住宅では約2%に留まる。初期投資が価格や賃料に跳ね返ることから事業者やオーナーは採用を見送ることが多いが、ランニングコストをかなり抑えることができる上に安全性も高いため、「住む人」からはメリットを高く評価されている形。だからこそ、当社が率先してオール電化はマンションでも初期投資に見合うメリットがあることを発信していくことが、今回の開発の狙い。第1号は福岡市の当社遊休地に建設する。

2018年12月26日発行