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不動産アセットマネジメント専業の子会社を設立 九州電力


週刊経済2024年3月26日発行号

私募リート事業に参画

九州電力㈱(福岡市中央区渡辺通2丁目、池辺和弘社長)は7月1日付で、不動産アセットマネジメント専業子会社を設立、私募リート事業に参画する。
社名は九電都市開発投資顧問㈱。九電グループが掲げる「九電グループ経営ビジョン2030年」に掲げる持続可能なコミュニティの共創の実現に向け、非電力事業で成長分野の柱と位置付けている都市開発事業と不動産事業の持続的な拡大を目指すことが狙い。新会社の資本金は2億円で、所在地は同市中央区。従業員数は10人。社長は現段階で未定。投資運用業や投資助言・代理業など金融商品取引業や宅地建物取引業を取得し、九州エリアを中心に長期安定的な運用を目指す私募リート事業への参画を目指す。計画では2025年度をめどに運用を開始。順次資産規模を拡大しながら、ポートフォリオの多様化を目指す。対象となるアセットはオフィスや賃貸住宅、ホテルのほか、冷蔵・冷凍設備のある物流倉庫など。アセットのエリアは全体の半分を九州とし、残りを関東・関西、他の政令指定都市とする方針。私募リート事業によって運用された収益は大規模開発プロジェクトの投下資金や、まちづくりへの再投資に活用する。また、九電グループが蓄積してきた再生エネルギーを活用したファンドの組成、運用も検討する。
3月19日の会見で都市開発事業本部長の上妻正典執行役員は「経営ビジョン2030に掲げた“持続可能な共創コミュニティの共創”の実現に向け、私募リート事業を通じて成長分野である都市開発事業を持続的に拡大させる新会社でありたい」と抱負。不動産開発事業部の田原繁部長は「私募リートはプロの機関投資家による長期運用が可能なこと。九電グループがこれまで取り組んできた都市開発、不動産事業や自治体との連携などはスポンサーとしての信用力も高い」とした上で、「再生可能エネルギーファンドの組成・運用なども組み合わせることで九電グループならではのアセットマネジメント事業を確立させていきたい」と展望を述べた。国内大手電気事業者では、すでに関西電力㈱、中部電力㈱が私募リート事業に参画している。九電グループは22年3月に金商法(投資助言、代理業)の取得、同年12月には私募リートの1号案件を組成し、昨年12月までに5号案件まで増やしている。