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ボルガ・ドニエプル航空とMOU締結 福岡県と北九州市


北九州空港利用促進で

福岡県と北九州市は1月29日、チャーター便専門の貨物航空会社、ボルガ・ドニエプル航空(ロシア・ウリヤノフスク)と北九州空港利用促進に関するMOU(覚書)を締結した。
同社が国内の自治体とMOUを締結するのは初めて。北九州空港が九州で唯一、24時間運用可能な空港であることや、陸送では対応できない超重量物などの輸送に対応できること、アジア各地との近接性、駐機拠点性などを評価、県、北九州市との締結に至った。MOUでは、目指す方向として、滑走路の3000メートル化、同社がアジアにおける駐機拠点候補として北九州空港を位置付けること、駐機スペースの確保などの面で県市がサポートすることが盛り込まれた。また、同社が所有する世界最大級の大型輸送機アントノフなどを活用した重量物貨物や大型貨物、人工衛星などの特殊貨物輸送に加え、災害時の緊急物資の輸送などに北九州空港の積極利用を検討することも示されている。
北九州空港で開かれた締結式で、同社アジア太平洋開発グループのドミトリー・ヴォロンツォフディレクターは「グループ全体で様々な保有し、他社にはないようなサービスを提供することができる」とした上で、「北九州空港は中国にも近く、今後もアジア地域での展開にとって今回のMOUは非常に重要」と語った。また、同社のチャーター営業日本地区の塚田博之代表は、北九州空港の滑走路が2500メートルの現状について、「現行滑走路ではアントノフの性能を十分に発揮できない。3000メートルに延伸されれば米国本土など遠方への輸送が可能になる」と強調した。
一方、小川知事は「MOU締結を機に3者連携し、福岡空港と合わせて県内に2つある空港の将来構想に掲げた北九州空港の貨物拠点化を県市一体で目指していきたい」とし、北橋健治市長は「MOU締結によるパートナーシップ体制の実現は国が滑走路延伸を検討するにあたり、極めて大きなインパクトになる。BCP拠点としての観点からも北九州空港を活用していただけるよう地元行政として全面的にバックアップしていく」と抱負を語った。
同社は1990年設立。旧ソ連が開発した量産の貨物機としては世界最大の輸送機・アントノフ124–100を12機保有しているほか、積載能力に加え、南極など厳しい離着陸環境でも運航が可能なイリューシン76TD-90VD機を5機保有している。2016年には、北九州空港から自動車製造設備の一部を米国に輸出した実績があり、北九州市港湾空港局では、人工衛星や航空機部品、タービン、コンプレッサー、プラント部品などの輸出入増加が見込まれる予定としている。

2020年2月11日発行