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ベトナムでブタ用飼料添加物を販売開始予定 KAICO


週刊経済2023年5月2日、9日合併号

今冬を目標に

九州大学発ベンチャーで、カイコを利用したタンパク質受託発現事業のKAICO㈱(福岡市西区九大新町、大和建太社長)は今冬、ベトナムでブタ用飼料添加物の販売開始を目指している。
同社は、昆虫カイコを利用して生産したタンパク質による経口ワクチン(食べる、飲むなど口から摂取することで抗体価を上げるワクチン)の開発を進めており、動物や人への展開を目指している。その中で、医療用ワクチンとしての認可を目標に掲げながら、まずは抗原タンパク質を配合した動物用飼料添加物を流通させるビジネスモデルを構築している。「ブタ用経口ワクチン・飼料添加物実用化」のプロジェクトは総合商社の双日㈱とともに進めており、今年度中のベトナムでの提供開始が目標。ブタへのワクチンが普及していない国や地域では、感染症により肥育が不十分になってしまうケースが多いため、養豚農家の生産性向上を目的にしている。また、餌に混ぜて食べさせることで一頭ずつ注射する必要や注射針などの廃棄物をなくすこともできる。大和社長は「ベトナムの年間養豚数は日本の約2倍である2千万頭とされており、ワクチン接種が十分に普及していないことから市場性を見込んでいる。将来的には他国での展開も視野に入れている」と話している。
また同プロジェクトは2月15日、内閣府が主催する「第5回日本オープンイノベーション大賞」で経済産業大臣賞に選ばれ、九州大学、双日とともに表彰された。
同社はカイコを利用して難発現のタンパク質の医薬品、診断薬、試薬を開発することを目的に、2018年4月九州大学発ベンチャーとして設立。資本金9千万円。従業員数13人。