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ブロック単位で「10兆円ファンド」認定校へ 九州大学


週刊経済2022年12月20日発行

石橋総長インタビュー抜粋

九州大学(福岡市西区元岡)の石橋達朗総長は本誌1月号、新年トップインタビューに応え、新年は「10兆円ファンド」の認定を目指していく方針などを話した。以下、インタビューを抜粋。
―2022年を振り返っての感想について。
石橋 対面講義や学園祭、留学生の受け入れなど、コロナ禍で停滞していた活動の多くを再開でき、「ビヨンドコロナ」に向けた着実な前進を感じられた1年だった。一方で、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする不安定な世界情勢が、大学運営に少なからず影響を与えた年でもある。中でも過度な円安等を背景とする物価高で、運営コスト面で多大な打撃を被っている。
―指定国立大学法人の指定後に打ち出した「九州大学ビジョン2030」が本格的に動き始めた。
石橋 目指す姿「総合知で社会変革を牽引する大学」の実現に必要な体制整備を着実に実施できたと思う。4月に2つの基盤組織「未来社会デザイン統括本部」と「データ駆動イノベーション推進本部」を新設したほか、両本部の始動を記念した「キックオフシンポジウム」を9月に開催して、今後の活動への理解と参画を促す機会となった。その他、数学、情報学、経済学分野の共創により数学モデリング人材を育成する「マス・フォア・イノベーション連係学府」も4月に開設した。「総合知」による社会的課題解決に向け、学部を超えた連携が活発になってきたと感じている。
―2023年の重点的な目標は。
石橋 来春、新たな研究開発次世代拠点が九大新町に開業予定で、ここに本学の産学官連携組織「オープンイノベーションプラットフォーム」を移転させる。学官連携推進の垣根を低くすることで、先端的な研究開発をはじめ、新技術・新製品の開発やベンチャー企業・新産業の創出を促進させたいと考えている。
また、国の「10兆円ファンド」の支援を勝ち取ることも重要な目標だ。世界トップレベルの研究大学を目指す「国際卓越研究大学」をファンドの運用益で支援する新たな取組で、認定された数校が対象となる。本学も「総合知」で世界最高水準の研究を展開する大学として、認定を目指していくつもり。
―どういった部分を強みとしてPRしていくのか。
石橋 本学単独ではなく、九州域内の大学や産業界、自治体等との連携による「ブロック単位での研究力向上」をPRしていきたい。また「アジアへの近さ」という地理的優位性も打ち出していく。