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トークン発行型CFを活用した新プロジェクト 博多大丸と東京のフィナンシェ


週刊経済2024年1月2日、10日合併号

「九州探検隊」の一環で

㈱博多大丸(福岡市中央区天神1丁目、小宅祥広社長)は12月18日、ブロックチェーン技術を利用いたトークン発行型クラウドファンディング(CF)サービスを運営する㈱フィナンシェ(東京都渋谷区、國光宏尚社長)と共同で「未来共栄プロジェクト」の始動を発表した。J.フロント リテイリング㈱が4月にフィナンシェに出資したことがきっかけで、共同プロジェクトはグループで初めて。
「未来共栄プロジェクト」は、大丸福岡天神店を起点に九州の生産者や商品を発掘・紹介する「九州探検隊」の取り組みの一環として実施。フィナンシェが運営するサービスを通じて生産者や事業者が発行する「トークン」をサポーターが購入・保有することで、プロジェクトを支援できる仕組み。第1弾として、宮崎県・椎葉村を拠点にチョウザメの養殖とキャビアの製造・販売事業を手掛ける「キャビア王国」(鈴木宏明代表)がトークンを発行する。販売価格は1万円からで、トークンの保有数によって優待購入権や養殖池ツアー予約権などの特典を設けている。販売期間は12月18日から24年2月29日まで。トークンの購入・保有には無料スマホアプリ「FiNANCiE」への登録が必要。24年度には、球磨焼酎を製造する大石酒造場、高田酒造場、久留米絣の池田絣工房、丸亀絣工房が実施を予定している。
フィナンシェの田中隆一取締役は「トークン発行型のクラウドファンディングは、トークンを保有する限り継続してコミュニティに参加し、プロジェクトに関わることができるのが特徴。資金調達によってプロジェクトが成長し、さらにトークンの価値が上がることで、ユーザーに還元される仕組み」と説明。九州探検隊の副隊長を務める博多大丸の村本光児取締役は「創業65周年の2018年にスタートした九州探検隊では、5年で114市とアンバサダー認定を結び、ともに地域課題の解決に取り組んできたが、実店舗を起点とした取り組みにはPR面などの課題もあった。新たなWeb3の領域での取り組みを機に、一過性にとどまらないファンづくりを支援したい。ECのチャネルも活用しながら、全国各地のお客さまに九州の商品を購入していただけるきっかけになれば」、キャビア王国の鈴木代表は「乱獲や密猟などで絶滅の危機にある天然チョウザメを守っていくためにも、養殖チョウザメの供給量増加を目指し、国産の養殖キャビア『平家キャビア』を一般家庭の食卓に並ぶ価格にしたいと考えている。24年春には宮崎県都農町で新たな養殖池が稼働するほか、遊休資産も活用しながら養殖拠点を拡大していきたい」と話した。