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デザインおよびコミュニケーション領域の包括的連携協力協定 九州大学と電通九州 九大が初めてサービス業と連携
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九州大学(福岡市東区箱崎六丁目、梶山千里総長)と広告会社・株式会社電通九州(福岡市中央区赤坂一丁目、三輪昌三社長)は三月末に九州・アジアにおけるデザインや広告手法などのコミュニケーション領域の研究で包括的連携協力協定を締結、六月の第一回連携協議会を経て、双方の取り組みなど連携活動計画の骨子を七月二十三日に発表した。九大がサービス業と連携するのは初めて。
九大が進めている研究に、電通九州が持っているマーケティングのノウハウを活かしたり、逆に電通九州が手がける広告などに、九大の学問的知識を取り込んだりするという。連携事項は(1)新しい広告コミュニケーションの開発研究、(2)地域活性化を促す交流プログラムの開発研究、(3)産業の国際化のためのデザイン振興の三項目。連携協力を円滑にするため、両者の代表者で構成する連携協議会を設置。昨年十月に九大が旧九州芸術工科大学と統合して立ち上げた大学院である芸術工学研究院を中心に共同研究を進める。詳細なテーマは今後絞り込む。
計画では九大は芸術工学を含む総合力を生かして、ユーザーを基盤とした技術・感性融合機構「ユーザーサイエンス・インスティテュート(USI)」を構築する。ユーザーインターフェイス部門が窓口となってユーザーのニーズを引き出し、技術・感性融合企画部門が目標を実現するためのプロジェクトを企画するという、従来の縦割りの研究組織では難しかった専門分野を越えた研究開発システムで、様々な研究分野とユーザー、企業、行政などが一体となり、ユーザーの願いを具現化する。同機構は文部科学省および科学技術振興機構が推進する国内最大規模の「戦略的研究拠点育成プログラム」として採択されている。また芸術工学部門を有する数少ない総合大学としての特色を活かし、意匠権や商標権などデザイン分野の知的財産を技術移転する「デザイン移転機関(DLO)」を来年度に設立する。地の利を活かし、アジア各国と協調してデザインのアジア標準確立にも貢献していく計画。さらに技術とデザインが一体となって人間の豊かな生活を支援するような現代の総合化技術を評価・認定する国際標準を創ろうという「Qマーク(クオリティマーク)」構想を掲げる。ユーザーサイエンスを基盤とした世界レベルの品質と標準を九州から世界へ発信することで、九州を中心とした産業活力の創出を目指す。
一方、電通九州では地上デジタルテレビ放送への完全移行を二〇一一年に控え、全国各地で放送コンテンツの不足が予想されるなか、今まで生活者の目に触れることなく眠っていた教育機関や自治体などが所有する膨大な情報をデジタルコンテンツ化していく枠組みを整備する。その第一歩として、新しい時代のコンテンツを考えるコンソーシアムの設立を検討していく。また少子高齢化が進む中、今後ボリュームゾーンとなるシニア、そして次世代の子供たちへのコミュニケーションのあり方を研究する。シニア向けには、従来の固定観念にとらわれない今日のシニア層を解明すると同時に、シニアに好感を持たれる広告コミュニケーション、視認性の高いサイン、快適な生活・施設空間の開発などに取り組む。一方、子供たちをめぐる社会環境が多様な問題を抱えるなか、子供たちのための新しいコンテンツ提供や、施設空間の研究にも取り組む。
さらに近年、アジアへの進出や、アジアからの人材・顧客の獲得を目指す九州の企業・自治体向けに、今年六月にサービスを開始した中国市場の調査パッケージ「ディー・アンサー中国版」をはじめ、対アジアのマーケティングやプロモーション活動の支援体制を強化する。同時にデザイン・コミュニケーション分野での人材交流の活性化を推進する。
九大は四月の独立行政法人化をきっかけに、産学連携の強化を急いでいる。同日現在、西部ガス株式会社、大日本インキ化学工業株式会社、三菱重工業技術本部株式会社、株式会社大島造船所、日本ゼオン株式会社、三井造船株式会社と包括的連携を締結中。
2004.8.3 発行 週刊経済より