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コロナ禍契機に「電化」推進へ 九州電力
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池辺社長インタビュー抜粋
九州電力㈱(福岡市中央区渡辺通)の池辺和弘社長は本誌9月号「地場主要企業トップインタビュー」で、コロナ禍の経営への影響や今後の戦略について話した。以下、インタビューを抜粋。
―コロナ禍の経営への影響は。
池辺 外出自粛などの影響で一部に電力需要減が見られた。第1四半期の電力需要は、前年同期比4・1%減で、家庭用が伸びた一方で業務用と産業用が伸び悩んだ。それでも、休業要請の対象に入ったような他の業種に比べれば、影響が大きいとは言えないと思う。
―第1四半期決算(連結)は、売上高は前年同期比1・4%増の4961億円、経常利益は同約2・3倍の267億円で増収増益だった。
池辺 増収については再エネ特措法交付金の増加が大きかった。利益については経費の減少もあるが、減価償却方法の変更が主要因。
―テロ対策施設の建設で川内原子力発電所が運転停止状態となっている。施設の建設は順調か。
池辺 土木建築工事が9割程度、設備の整備も8割程度完了している。順調に進めば今年12月に1号機が、来年1月に2号機が運転を再開する見通し。収益力強化のためには川内各機の稼働が不可欠。工事に遅れが生じないよう、工事現場での感染対策にも気を配りたい。
―海外事業の状況は。
池辺 海外電気事業は13カ国・地域、16件の事業に参画し、持分出力は約241kWに到達した。直近では1月にフィリピンでマイクログリッド事業への参画を決めたほか、6月には米国の地熱技術サービス会社を買収した。海外でのコンサルティング案件の開拓も順調。アメリカや欧州、キューバ、ケニア等で新規受託に成功している。
―国内での新規事業は。
池辺 8月7日に、福岡市中央区舞鶴の開発型SPCによるオフィスビル開発事業への参画を決めた。また、7月からは西日本鉄道などと共同で、電気バスを電力の需給バランス調整に活用する実証をスタートしている。さらに、高性能な小型衛星の開発に成功したベンチャー、QPS研究所と連携し、衛星データを活用した新規事業の検討も始まっている。
―ポストコロナの時代に重点を置くべき事業は。
池辺 「電化」の推進に一層力を注いでいく。コロナ禍の中でテレワークやオンライン活用が盛んになり、「人」の移動が「情報」の異動へとシフトする「デジタルトランスフォーメーション」が進展しつつある。情報を動かす力は電力に他ならないので、当社にとってこの動きは追い風。これを契機に社会全体の電化を促進していきたい。比較的クリーンなエネルギーである電気を使うことは、CO2排出削減など環境問題への貢献にもつながっていくだろう。
2020年8月25日発行