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キャナルシティ博多の再構築が急務 ㈱福岡リアルティ


週刊経済2021年8月24日発行

古池善司新社長に聞く

福岡リート投資法人の資産を運用する㈱福岡リアルティの新社長に就任した古池善司・元福岡地所㈱常務執行役員。コロナ禍で苦戦するキャナルシティ博多の再構築や海外機関投資家を意識したESG、SDGs対応を急務に挙げる古池社長に聞いた。(ふくおか経済8月号掲載・抄)
―就任の感想は。
古池 9年間務めた松雪前社長のもと、福岡リート投資法人は着実に成長を遂げてきた。昨年からコロナの影響もあるが、足元は回復基調で、株式の株価にあたる投資口価格もコロナ前の水準に戻っている。環境的には徐々に上向きで、良い状態でバトンを引き継いだ、というのが実感だ。
―抱負・目標については。
古池 昨年で資産規模が2千億円を突破したので、まずは2500億円規模に持っていきたい。前回の増資からしばらくたっており、投資口価格も順調に回復しているので、機会があれば増資も検討していきたい。その際はこれまで通り物件をしっかり見極め、良質な資産を入れていく。また地域特化型のリートなので、今後も九州・沖縄で事業展開し、地域発展のお役に立ちたい。
現有のアセットの中では、商業施設やホテルにコロナの影響が出ている。われわれの場合、商業のウェイトが高いため、オフィスビルや物流施設などの他のアセットも積極的に組み込んでいくべきだと思う。インフラ系のデータセンターやライフサイエンス系の研究施設などもリートに入っている事例があるので、そうした新たなカテゴリも今後、検討していきたい。
―6月には、キャナルシティ博多のグランドハイアット部分を星野リゾート・リート投資法人に売却、逆に天神西通りビジネスセンターの底地を取得という資産入れ替えがあった。今後の運用についての影響は。
古池 われわれの見立てではグランドハイアットは収益的に厳しい見通しであったため、新しい開発の底地と入れ替えることで安定的な収益を得ることができる。物件の運用にはプラスに働くと見ている。
星野リゾートさんとはいい形で合意できたと思う。ご承知の通り、国内有数のホテルのオペレーターであるし、われわれのグループにないノウハウをお持ちなので、キャナルの再構築、再浮上にとってもベストパートナーだと考えている。
キャナルは福岡リートの中で最もボリュームのあるアセットなので、今後、中長期的なスパンで、不動産マーケットの中でどう収益が上がるものにするかが重要。いかなる外部環境でも生き残れる施設にするための方針をスポンサーグループとともに早く固めたい。
―そのほか、中長期的な取り組みとしては。
古池 一番はESG、SDGs対応。本当に喫緊の課題だと思う。特に海外の機関投資家の見る目は日に日に厳しくなっており、きちんと取り組んでいかないと、投資家から選択されなくなるだろう。