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アガぺファームと連携し、機能性表示食品を開発 九州産業大学


週刊経済2021年9月28日発行

商品名は「金姜柑」

九州産業大学(福岡市東区松香台2丁目、北島己佐吉学長)は9月15日、調剤薬局チェーン展開の㈱アガぺ関連会社・㈱アガぺファーム(朝倉郡筑前町四三嶋、藤木一行社長)と産学連携し、機能性表示食品となるジンジャーシロップ「金姜柑(きんきょうかん)」を開発。10月1日から発売することを明らかにした。
同食品の開発は2018年から産学連携プロジェクトの一環として取り組んでいたもの。アガペファームでは連携以前からジンジャー系のシロップ商品開発を手掛けていたが、同大学と連携することで機能性表示食品としてのシロップ開発に着手。今回の商品化となった。金姜柑は熊本県産のショウガを主原料とするシロップで、気温や室温が低い際に抹消部位の体温を維持する機能があるという。同商品開発については、同大学生命科学部が有する国内外のショウガに関する1万8千件以上の研究の中から約100件の信頼性の高い文献を精査。機能性を表示するために必要な有効成分含量を特定し、アガペファームが試作した食品に対する機能性成分分析を繰り返し実施するなど同食品のレシピ決定を支援した。
機能性表示食品とは特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品とともに保健機能食品として健康機能表示を許された食品のこと。同食品はトクホとは違い、国による審査は無いものの、届け出が受理されるには企業責任で最終製品の臨床試験を行うか、システマティックレビュー(専門家による国内外の膨大な関連研究を網羅的に収集・精査し、科学的根拠に基づき評価する方法)を行う必要があることから、「健康機能を表示することによる商品価値の向上というメリットは理解しても、中小の食品メーカーではコスト負担増などを背景に申請を断念するケースが多い。千社近くの食品関連企業がある福岡県内でも、機能性表示食品の申請を行う事業者は多くない」(九州産業大学広報課)という。
今回、同大学がシステマティックレビューや機能性成分分析を支援したことで、アガペファーム初の機能性表示食品の商品化が実現したことになる。同社では今後、福岡県内を中心に関東エリアなど同社グループ調剤薬局80店舗を対象に販売する方針。なお、価格は1本(容量は300㎖)で2268円(税込)となっている。同社では「今回の連携による商品化に感謝し、今後新たな機能性表示食品を開発。保健機能食品の商品ラインアップの拡充に努めたい」と話している。
同社は2013年10月に設立。資本金は2600万円、従業員数は3人。