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「3つの力」で業績の回復を 博多大丸


週刊経済2022年9月13日発行

小宅祥広社長

5月30日付で就任した㈱博多大丸(福岡市中央区天神1丁目)の小宅祥広社長。2期連続赤字からの脱却を目指し、顧客ニーズを聞き出し、それを環境変化に則して具現化する「力」の向上を掲げる。業況や見通しを含め抱負を聞いた。
―就任の抱負から。
小宅 2期連続の赤字なので、当然業績を上げていかなくてはならない。富裕層対策やデジタル化といった要素もあるが、その前に「どれだけ力を上げられるか」が重要。「引き出す力、聞き出す力」、「環境変化に即応できる力」、「実現する力」の3つで、まずお客様が本当に欲しいものは何かを聞き出し、それを環境変化に則して具現化するということ。
―今年2月期の決算は増収減益だった。
小宅 増収は当然だが、思うようには上がっていない。それは「3つの力」が足りていないことが理由だと思う。今期に入ってからも売り上げが上がっていない。今までやってきたことがお客様からの評価を受けていないという事実があるので、それを変えていかなくてはいけない。
―そのための取り組みは。
小宅 一人一人の考え方を変えていくことが必要なので、徐々に話をしている。「人の力」どう引き出すか、人をどう変えていくか、その力をどう結集できるかが経営の手腕だと思う。そのための方法のひとつは「イエス、アンド」。今やっているプランはそのまま継続させ、それに「アンド」で何かを加えてお客様に近づき、もっといろいろな反応が返ってくるようにすることが「引き出す力」につながる。それから「共感消費」。例えばSDGsの観点からも、これからは修理・メンテナンスしながらモノを永く使おうという時代が来るだろう。百貨店も、モノを売るだけではなく、その後のリペアやリメイクに力を入れるべき。またゴミを減らすなど、環境負荷を軽減する取り組みにも博多大丸で取り組み、それを公表していくことで共感消費につながる可能性がある。
特に若い世代からの支持が期待できるので、若い富裕層を取り込んでいくには、共感消費が大きな柱になるのではないかと考えている。
―今期の黒字化については。
小宅 上期では無理だったが、9月から来年2月の下期で戻して最終的には通期の黒字化を目指す。仮に今期は計画通りにいかなかったとしても、最低2年で安定的に収益が稼げる基盤を作りたい。
―そのほか取り組みたいことは。
小宅 25~26年には天神ビッグバンが完了して、オフィスの容積も増えるので就業人口も増加する。それまでに富裕層などの固定客基盤を確立させ、増加する就業者分を上乗せする形で取り込む。また、福岡空港も24年度に第2滑走路が増設され、福岡―韓国間の高速船も再開するだろう。インバウンドの復活も見込めるので、それらを確実に取り込むための基盤を24年までにきっちり作っておきたい。