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「08年3月期決算は不本意な結果」  ふくおかFGの谷会長兼社長    貸倒引当金を151億円増加


 株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市中央区大手門1丁目)の谷正明会長兼社長(福岡銀行頭取)は、7月22日、ふくおか経済インタビューに応じ、「08年3月期決算は、金融市場を取り巻く環境が激変し、非常に不本意な結果に終わった」と述べ、10年3月末を最終目標年度とするふくおかFGの中期経営計画の進ちょく状況は、「計画通り順調に推移している」と語った。インタビューは次の通り。 
 ―08年3月期決算を振り返って。今回の決算をどう評価しているか。
 谷 経常収益は予想を約78億円上回る約2778億円だったが、本業の儲けを示すコア業務純益は、予想を40億円下回る799億円だった。これは長期金利が上昇しなかったことに加え、株式市場の低迷で投資信託などの資産運用商品の販売が減少し、手数料収入が伸びなかったことなどが要因だ。加えて金融市場を取り巻く環境が激変し、サブプライム関連ではない証券化商品で115億円、株式で187億円の減損が生じたこと、あるいは法改正の影響による業界への対応として貸倒引当金を計画比151億円増強したこと、熊本ファミリー銀行の繰り延べ税金資産53億円を取り崩したことなどが重なり、経常利益が予想を311億円下回る259億円、当期純利益は250億円の予定が約13億円に止まった。非常に不本意な結果だったと受け止めている。しかし、金利の変化を除けば、これらの要因は一過性のもので、期間中に処理できるものはすべて処理することができたと思う。
 ―中期経営計画の進ちょく状況は。
 谷 ふくおかFGとしての体制整備に重点を置いたもので、熊本ファミリー銀行と親和銀行の不良債権処理、営業・事務体制の再構築が大きな課題だ。金利の動向に対応するため、数値目標の一部を修正したが、計画の内容は従来のまま。進ちょく状況は、順調に推移している。例えば店舗の統廃合は、福銀と重複する福岡県内の親和銀行の店舗を現行22店舗から5店舗まで集約し、併せて長崎県内での店舗網の再編、長崎県外の店舗の廃止は急ピッチで進めている。また、事務効率化の大きな柱であるシステム統合は、プロジェクトチームを編成し、準備を進めており、熊本ファミ銀が09年1月、親和銀行は10年1月までに統合を完了させる予定だ。
 ―不良債権の処理について。
 谷 一番の問題は、親和銀行の不良債権問題だ。親和銀行の不良債権比率は15・73%だが、5%程度まで縮小する方向で準備を進める。ふくおかFG全体でも4・98%の不良債権比率を10年3月までに2%台まで大幅に圧縮していく計画だ。不良債権処理は、01年に福銀で実施した当時の経験を踏まえて実施していく。期間内に処理できるものは、先送りせず処理することがわれわれのポリシーであり、そうしなければ新たな飛躍は期待できない。