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「都市の成長」と「生活の質の向上」の好循環に力強さ 福岡市・高島市長


入込観光客数は初の2000万人突破

福岡市の高島宗一郎市長はこのほど、本誌9月号インタビューに応じ、2期8年の成果として「“都市の成長”と“生活の質の向上”の好循環が回りだし、力強くなった」と強調する。主なやり取りは次の通り。
―2期目が最終年を迎えている。8年間を振り返っての感想、成果について。
 高島 8年前に就任した時から蒔(ま)いてきた、さまざまなチャレンジの種が芽を出し、花が咲き、一部で実も採れるようになった。「都市の成長」と「生活の質の向上」の好循環が回りだし、そして力強くなってきた。市民の約9割が第3次産業に従事していることを踏まえ、交流人口を増やす短期・中期・長期に分けた施策を展開してきた。その結果、昨年度は初めて、5年連続で過去最高を更新してきた入込観光客数が2000万人を突破、経済波及効果の大きいMICEの開催件数も年々伸び続け、政令指定都市で8年連続1位となっている。これによって、ホテルの空きが減り、客室稼働率は84%まで伸びている。オフィスビルも同じ。就任当初、11%台で高止まりしていたオフィスの空室率は1・5%まで低下するなど、供給不足の状況が続いている。
―「天神ビッグバン」による再開発の動きも本格化している。
 高島 明確に動き出した。「西のゲート」に位置する旧大名小学校跡地では、活用事業の優先交渉権者が決定し、高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」やワンフロアの貸付面積が約2500㎡を確保できるオフィスを含む複合ビルが計画されている。天神交差点に隣接する福岡ビルの街区でも一体開発を目指し、福岡ビル・天神コアビルを建て替える第1期事業が発表された。「天神ビジネスセンター」も新たなビル建設が進んでいる。これらの動きにより、福岡の地価は商業地、住宅地ともに5年連続で上昇しています。その伸びは、東京、大阪を凌(しの)ぐ勢い。福岡市は今、誰が見ても日本で一番元気がある都市と言っていただけるようになったと確信している。
―「生活の質の向上」については。
 高島 「都市の成長」を「生活の質の向上」に結び付け、好循環を作っていくことが福岡市における都市経営の基本戦略だ。成長によって得られた税収増を市民生活の向上に結び付けるという流れを作っている。例えば、公立小中学校へのエアコン設置。本市では、好調な市税収入を受け、13年度に方針を決定し、すべての公立小中学校の普通教室にエアコンを整備した。まさに市税収入の増加という果実によるもの。ほかにも子ども医療費の助成について通院費を小学校6年生まで、入院費を中学校3年生まで拡大したこと。保育所を7年間で約1万3000人分整備したことも成長によって得られた果実だ。
―人口増加について。現在、市の人口は157万7000人。この流れは今後も続くとみているか。
 高島 このまま続くとみている。アジア都市研究所の予測では、2035年まで増え続けるということだが、その予測は市長就任前にたてられたもので、私がどのような政策を打ち出すかという想定は入っていなかった。市長である限りは、想定をいい方向に超えていきたい、いや超えたなければならないと強く思う。現在、その予測を超えた勢いで人口が増え続けており、この流れをさらに加速させていきたい。

2018年8月28日発行