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「観光と地域公共交通の支援を最優先に」 九州運輸局


週刊経済2021年8月3日発行

河原畑新局長就任会見

九州運輸局(福岡市博多区博多駅東)は7月21日、河原畑徹中国運輸局長が新局長に就き、就任会見を開催。九州の観光産業と地域公共交通の支援を最優先課題に掲げた。
河原畑局長は1966年8月3日生まれの54歳。東京大学経済学部卒。福岡県出身で、幼少期から高校生の頃までに、福岡、長崎、鹿児島で暮らした経験を持つという。航空局と港湾局での勤務が長く、九州運輸局での勤務は企画観光部長として勤務した11年以来10年ぶり。直近まで中国運輸局長を務めていた。  河原畑局長は会見で、局の重点方針として「観光先進国の実現」「地域公共交通の確保・維持」「人材確保と生産性向上」「国民の安全確保」の4つを掲げた。中でも最優先に据えたのが、コロナ禍で大きな打撃を被った観光産業と地域公共交通に向けた支援で、両産業ともに「これまで経験のない需要減に直面している」と強調する。観光業に関しては、観光面の魅力だけでなく衛生面での安心安全を求められるようになったとし、感染対策を徹底した安心安全な旅のスタイルの普及定着、ワーケーションの推進、九州域内の観光資源の磨き上げや情報発信の支援に向け、地域の観光事業者や自治体と連携して取り組んでいく方針を示した。また、「コロナ禍以前も観光消費額の8割は国内観光が占めていた」ことから、インバウンド回復のめどが経たない現状は、「東名阪等の大都市や修学旅行を如何に誘客できるかがカギを握る」との見方を話した。また地域公共交通に関しては、データ連携や自動操縦などの最新技術の導入を視野に入れた「新しい交通サービスの在り方を検討してく必要もある」との考えを示した。
河原畑局長は「従来からの高齢化や人口減などの課題に加え、コロナ禍やデジタル改革などで世の中が急激に変化している。これまでの成功体験の延長線上では物事が解決しない」と話し、「できる限り現場に足を運び、前例にとらわれることなく九州の運輸・観光の在り方を考え、地域の活力を取り戻していきたい」と抱負を語った。