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「未来に必要な施策、スピード感を持って対応」 福岡県・服部知事
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週刊経済2023年1月11日発行(合併号)
成長産業の育成は“グリーン”を核に
福岡県の服部誠太郎知事は、本誌・新年号の取材に応じ、「2023年は行政の継続性を大事にしながら、未来に必要な施策についてはためらうことなく、進めていきたい」と抱負を述べ、水素など成長産業の育成については「グリーン」を核に各施策の推進に取り組んでいきたいと意欲を述べた。主なやり取りは次の通り。
―2023年における県政のテーマは。
服部 今後、コロナや世界経済情勢の不確定要素はたくさんある。しかし、どのようなことが起きても、私たちの産業経済も県民生活も、強じんで安定したものにしていかなければならない。そのため、これまで起きたこと、経験したことを踏まえながら、23年、また、その先の未来に向けてしっかりとした基盤をつくり、世界で活躍できる人を育てることが需要だと思う。この路線は就任後から変わらない。行政の継続性は重要だが、世界は刻々と変わっていくので、未来のために必要な施策については、ためらいなく、スピード感を持って挑戦していきたい。その中で、多くの県民が夢や希望を抱けるような施策にも取り組み、元気をもっていただける年にしていきたい。
―中小企業支援策について。
服部 まずコロナ前から大きな課題となっている事業承継の問題がある。商工会議所などの関係機関と連携した「事業承継支援ネットワーク」での取り組みを引き続き行っていきたい。また、家業を引き継ぎながら第二創業をする後継者、いわゆる「アトツギベンチャー」に対しても新商品開発や資金調達を伴走型で支援する。
―スタートアップ支援について。
服部 岸田首相は2022年を「スタートアップ元年」と宣言し、国も支援を強化している。県では「フクオカベンチャーマーケット」において、ビジネスマッチング支援などを取り組んでいるほか、21年度には資金調達に特化した支援プログラムISSIN(イッシン)を開始し、県内ベンチャー企業への投資額は21年に150億円と過去最高額に達している。また、スタートアップ支援では大学発ベンチャーの取り組みも重要。22年4月には九州大学と包括連携協定を締結した。大学という知のアセットを十分生かしながら、脱炭素や医療などさまざまなテーマを出し合い、イノベーションの創出を進めていきたい。
―成長産業の育成について。
服部 水素、半導体、バイオ、宇宙ビジネスなど多岐にわたるが、脱炭素化・カーボンニュートラルの実現を視野に“グリーン”を核にした取り組みを展開していきたい。水素については、カーボンニュートラルのキーテクノロジーになっていることを踏まえ、製造、利用拡大、関連産業の集積を戦略の柱とした「福岡県水素グリーン成長戦略」を着実に前進させていきたい。半導体に関しては、県内にはパワー半導体や画像センサーで世界的なシェアを誇る半導体企業のほか、約400社の関連企業があり、人材を育成する教育機関、研究開発を支える公的支援機関が集積しているのが強み。こうした強みを生かし、企業誘致やサプライチェーンの強化、人材の育成・確保などに取り組んでいきたい。バイオについては、県内に200社以上の関連企業が集積している。最近ではゲノムの編集技術を活用した創薬に取り組む大学発ベンチャーが大手製薬会社の総額200億円のライセンス契約を結ぶなど成果が着実に表れている。県が強みを持つ「次世代創薬」、「スマートセル」、「再生医療」、「機能性表示食品」の4分野をターゲットに、さらなる研究開発や新製品の開発に取り組み、バイオ産業の集積を図っていきたい。すそ野が広い宇宙ビジネスについては、県内企業の技術を国内の宇宙関連産業にPRする出張技術提案会の開催、福岡県発の宇宙食開発支援などに取り組んでいく。