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「地方紙からナショナルマター切り込む」 柴田建哉西日本新聞社社長
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郵政不正スクープ弾みに
西日本新聞社(福岡市中央区天神)の柴田建哉社長は、本誌1月号「新年抱負インタビュー」に応え、統合編集体制の構築をはじめとする19年の成果について話した。以下、インタビューを抜粋。
—2019年を振り返って。
柴田 新聞業界を取り巻く環境は依然として厳しく、購読数と広告料の下落が続いている。そうした中で昨年は、まず紙とデジタルの両立を目指す「統合編集体制」の構築に向け、編集局を再編した。クロスメディア報道部というデジタル配信を管轄するセクションを設けたほか、紙もデジタルも同列に扱う統合デスクを配置するなど部門編成を見直し、「紙の新聞の締切に向けて記事を書く」というスタイルから「取材したら書いて効果的な時間帯に配信する」というワークフローにシフトするよう、現場の意識改革に取り組んだ。
—グループの再編も進んだ。
柴田 グループ構造改革も重点テーマの一つ。昨年は総合広告代理店の西広が博報堂の傘下に入ったほか、日本旅行と包括業務提携を結び、旅行代理店の西日本旅行の株式を譲渡しました。また、フリーペーパー発行の西日本リビング新聞社の清算を決めた。弱みを補い、強みを引き出す発展的な統合や再編はもちろん、不採算事業に関しては撤退の決断も下していく。
—25年ぶりの購読料改定もあった。
柴田 足元の業況悪化をはじめ、原材料や輸送費用などのコストが重く、従来比で1割程度の値上げに踏み切った。前回改定した頃は新聞の読者が増えていたが、今回は購読者が減っている中での改定であり、苦渋の決断だった。また、25年前はほぼ一斉に各紙が値上げに踏み切ったが、今回は大手紙を含め対応が分かれているのも悩ましい点だった。値上げに伴う購読者減は、集中的に展開したご愛読感謝キャンペーンなどである程度抑えることができたと思う。
—読者の声を元にテーマを決めるコーナーの「あなたの特命取材班」では郵政の不正営業問題を取り上げ、全国的なスクープとなった。
柴田 昨年春頃から寄せられた情報を元に取材を進め、かんぽ生命の社長が謝罪会見を開くまでに社会問題化した。地方紙でもナショナルマターのテーマに切り込めることを改めて示せたと思う。
2020年1月7日発行