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「全体像」見極めコロナ対策へのリソース検討を  福岡市


高島市長新年インタビュー抜粋

福岡市の高島宗一郎市長は本誌1月号「新年トップインタビュー」のインタビューに応え、コロナ禍における他地域に先駆けた独自支援策についてや、今後のコロナ対策の方針について話した。以下、インタビューを抜粋。
―コロナ禍顕在化以降、いわゆる「コロナ対策」の面で全国に先駆けた対応を矢継ぎ早に打ち出してきた。
高島 市民の安全を守り、経済への打撃を最小限に抑えることが市の役割なので、とにかくスピード感を重視して対策を打ってきた。まずは厳しい状況に置かれた事業者の倒産を回避する手立てが必要と考え、休業や営業時間の短縮をした事業者の店舗賃料補助、宿泊事業者の安全対策強化費の支給などを行うとともに、医療・介護や保育関係者へ特別給付金を支給するなど、独自の支援策を打ち出してきた。その後、緊急時の補償から徐々に経済を回すために必要な施策にシフトしながら、効果を最大限に引き出せるポイントを見極める「ピンポイント対策」を基本戦略として、コロナ支援策を展開してきた。
―PCR検査体制も大幅に充実した。
高島 現在では政令市では最も検査数が多い都市になった。ただ、やみくもに検査数を伸ばすのではなく、一人の陽性者が発生した際、その周辺の接触者を幅広く検査する対応を重視してきた。
―全国で第3波が猛威を振るっている。
高島 全国の感染拡大の状況と地域の実情を冷静に分析した上で、必要な対策を講じていく必要がある。少なくとも現時点(11月末現在)の福岡市では第1波、第2波と同レベルの感染爆発は訪れていない。もちろん今後もその可能性がないとは言えないので、出張でのPCR検査の導入や、福岡市役所の敷地内にサテライトのPCRセンターを開設するなど、さらなる検査体制の拡充は精力的に進めていく。  一方で、我々はこの1年弱でさまざまな新型コロナに関する知見を蓄積し、その性質や行動と感染の因果関係、感染対策の観点から気を付けるべきことなど、この感染症との「向き合い方」が分かってきた。「未知のウイルス」であった頃に比べ、どの程度の危険性を備えているかも鮮明になってきている。そうした蓄積した知見やノウハウを踏まえ、今後はどの程度コロナ対策にリソースを割いていくのか、しっかり見極めるべき時期を迎えていると感じている。できる限り感染対策と経済活動の両立を目指していくつもり。
―経済的に困窮する人を減らすことも重要だ。
 高島 感染防止に配慮した上で、経済を回せる部分はしっかり回していかないと、直接的にコロナに感染して亡くなる方だけでなく、経済的な要因で亡くなる方も決して少なくないのが実情だと思う。経済活動が停滞して税収が落ち込めば、さまざまな市民サービスの質が低下する恐れもある。最近のマスコミの論調なども含めて思うが、大切なのは「コロナ」そのものだけをフォーカスするのではなく、社会的、経済的な影響も踏まえた上での「全体像」の視点を持つことではないか。

2020年12月22日発行