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「伴走型支援」で経営課題の支援活動に注力 福岡商工会議所・谷川会頭


週刊経済2021年12月14日発行

事業承継、デジタル化推進など

福岡商工会議所(福岡市博多区博多駅前2丁目)の谷川浩道会頭は、本誌新年号インタビューに応じ、就任から半年間を振り返っての感想や新年の抱負などを語った。
―就任から半年。今日までを振り返って。
谷川 大きく3つある。1つ目は商工会議所が新型コロナウイルスに立ち向かうにあたり、ずいぶん力を発揮したこと。普段から中小企業・小規模事業者の経営相談や経営指導を行っているが、コロナ禍になり、多くの事業者、とりわけ小規模事業者から多くの相談が寄せられた。急場の対応には精力的に取り組んだ結果、商工会議所の「通信簿」というべき会員数は過去4年で最多の増加となった。職員は地域経済を支える「エッセンシャルワーカー」と申し上げて良い。2つ目は他の経済団体と全く性格の異なる団体であること。百数十人の職員が事業者の経営相談に対応している。提言や調査活動を行う団体に比べて、実働部隊を抱えた中小企業政策の実施機関であることを強く認識している。3つ目は取り組む事業や支援メニューが幅広く、多岐に渡っているということ。国や県、自治体による中小企業政策を網羅するだけでなく、地域の実情を踏まえ、独自に企画立案した施策にも取り組んでいること。まさに「中小企業政策の専門店街」という印象だ。
―22年の抱負について。
谷川 「コロナにやられた」というのがコロナ禍といわれる1年半だった。これからは「攻めに転じる」という気迫が大事。感染者数が減ったから安心して良いとは全く思わない。しかし、感染拡大防止の基本ルールを守りながら、社会経済活動を再開させていくことが極めて重要だと思う。社会経済活動の再開に向け、地域経済団体としての役割を果たしていくことが重要と考え、10月には主催する「会合・事業等における基本方針」を策定した。基本的な感染対策を守りながら、積極的に活動を展開していきたい。
―会頭として特に力を入れていきたい分野は。
谷川 コロナ禍からの回復を支援すること。「止血」という意味での緊急対応の役割は果たせてきた。今後は次の展開、できるだけ希望のある展開につなげていくことが重要だ。伴走型支援を基本に経営課題の支援活動に力を入れていきたい。特に事業承継やデジタル化支援は喫緊の課題でもある。関係機関と連携しながら取り組みを進めていきたい。
―地域経済の現状と展望について。
谷川 「afterコロナは簡単に来ない」という前提で、「withコロナ」を前提とにした取り組みを展開する必要がある。九州経済連合会の倉富純男会長とも話をしたが、経済界が声を掛け合いながら、新しい行動様式のもとで経済を動かす努力が求められる。