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「交通インフラ整備、道州制実現に向け活動推進」  鎌田迪貞 九州経済連合会会長に聞く


 社団法人九州経済連合会(鎌田迪貞会長)は、今期の事業計画で、地域産業の競争力強化や道州制実現に向けた展開などを掲げて活動を進めている。鎌田会長に九州経済の現況、交通インフラ整備、道州制推進について聞いた。
 ―先般の経済産業省による地域経済の動向と景況調査報告では、九州地区も下方修正されましたが、現状をどのように分析されていますか。
 鎌田 米国経済の減速や金融不安、原油・原材料価格の高騰から、国内でも企業収益が悪化し、設備投資も鈍化していますが、九州では、自動車関連や電子部品など輸出関連の工場立地が進むなど生産面の好調さは続いています。しかし景気回復の減速感が強まる中、それ以外の業種との格差、大企業と中堅・中小企業間の格差、さらに北部・南部九州の地域間格差は懸念されます。こうした経済環境の変化や国内政治システムの混乱などが、順調に構造転換を進めてきた九州経済の先行きを曇らせているのが実状でしょう。従来なら補正予算など景気対策を実施するべき状況だと思いますが、国の財政状況も厳しく、それもままならないのが現状のようです。
 ―九州の経済振興には、交通体系の整備も必要だと思いますが、福岡空港問題や、九州新幹線についてはどう対応されますか。
 鎌田 福岡空港は、那覇空港とともに主要地域拠点空港としての整備促進を図っていくことになりますが、新福岡空港計画に関しては、PI(パブリック・インボルブメント)が最終段階のステップ4に入っており、その内容に基づいて地元の意見を取りまとめていくことになります。
 九州新幹線については、2011年の鹿児島ルート全線開通に向け、着実な工事進捗のための活動を展開していきます。また、西九州ルートについても、関係先との連携で早期全線開通に向けた取り組みを進めていく考えです。それだけではなく、今後とも九州が自立的な発展を遂げるためには、東九州自動車道をはじめとする高速交通体系の整備、高度情報化のためのインフラ整備も必要だと考えています。
 ―5月に開催した「九州地域戦略会議」では道州制に関する話もありましたが、今後の予定について聞かせてください。
 鎌田 第2次道州制検討委員会の中間取りまとめ報告がありました。道州制の「九州モデル」策定に関して、国、道州、市町村の役割分担について、医療や子育て、産業活性化など12のケーススタディで、より具体的な事例を示したものです。今後は、道州制実現のための税財政制度や九州が目指す姿、将来ビジョンを秋の戦略会議までに取りまとめていただくことになりますが、それと並行して住民や国の関心を高めるためのPR戦略をまとめ、シンポジウムの開催など実施できるものから進めていきます。
 現在、国においても増田・道州制担当大臣(総務大臣)のもとで道州制ビジョン懇談会による検討が進み、自民党でも道州制推進本部による取りまとめが進んでいます。具体的な導入に向けたタイムスケジュールはまだ示せませんが、国や経団連が打ち出した期間も勘案し、極力早期に実施できる、地域住民や政治関係者の方々のご理解を広く得るような活動を展開していきたいですね。(詳細はふくおか経済2008年8月号に掲載)