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「九州産人工衛星」搭載のロケット打ち上げが失敗 QPS研究所


週刊経済2022年10月18日発行

イプシロン6号機が上昇中にトラブル

小型人工衛星を開発するベンチャー、㈱QPS研究所(福岡市中央区天神、大西俊輔社長)は10月12日、鹿児島県肝属郡肝付町の「内之浦宇宙観測所」から、小型SAR衛星3号機の「アマテル‐Ⅰ」、同4号機の「アマテル‐Ⅱ」の打ち上げに臨んだが、人工衛星を搭載した国産ロケット「イプシロンロケット」にトラブルが生じ、打ち上げは失敗に終わった。
九大発ベンチャーの同社は、従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストを実現した小型SAR衛星「QPS-SAR」の開発に成功。2020年に1号機の「イザナギ」、21年に2号機の「イザナミ」の打ち上げを実現していた。今回の3、4号機は地元九州の企業17社の技術力を取り入れた「九州で製造された人工衛星」であることを強調しており、打ち上げについても、これまではインド、アメリカのロケットに搭載していたのに対し、九州の発射場からJAXAが開発した「イプシロンロケット6号機」に搭載して打ち上げる計画だった。イプシロンロケットは2013年に打ち上げた1号機から5号機まで、全て打ち上げに成功していた。
同日、福岡県庁は打ち上げを応援するため、福岡銀行本店でリアルイベントとオンライン配信を併用したパブリックビューイングを開催。午前9時50分頃に無事打ち上げに成功したとの報告があり、11時頃に予定される人工衛星の展開を待っていたが、10時半頃、JAXAから上昇中のロケットの状態が確認不能になり、自爆させたとの報告が入り、イベントは急遽中止に。大西社長は報道陣に対応し、「ロケットに何が起こったかなどは詳細な報告を待つしかない」としながらも、「地元の皆さんと一緒に人工衛星を作り上げ、打ち上げを見守れたことは、大きなマイルストーンになると思っている。引き続き、人工衛星の36基体制を目指していくつもりなので、ここで歩みを止めるわけにはいかない」と話している。