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「九州は今年以上に明るい1年に」 九州経済連合会・倉富会長


週刊経済2023年12月12日発行号

インバウンド増、TSMC稼働など

九州経済連合会の倉富純男会長は11月30日、本誌抱負インタビューに応じ、新型コロナの5類引き下げにより、インバウンドや国内の旅行需要が増加したことや、半導体関連の設備投資や生産ライン増強などの話題に触れながら、「2023年はとても元気な1年になった。来年は今年以上に元気な年になるのではないか」と明るい見通しを述べた。
―2023年を振り返って。
倉富 5月8日に新型コロナが5類に引き下げられ、インバウンドをはじめ、国内の旅行需要が動き始めたことは大きかった。また、台湾の世界的半導体メーカー・TSMCをはじめ、半導体関連の設備投資や生産ライン増強が相次いだことで、全国的にも九州は元気になったと思うし、コロナ前以上に良くなっていると思う。九州地方知事会と構成している九州地域戦略会議でも各県知事が一緒になって九州を盛り上げていこうという機運がますます高まっていることも印象的。「九州はひとつ」のもと、ひとつにまとまって行動していくという風土がいっそう強くなっている。
―10月には九州初の国際的な公式自転車競技レース「マイナビ ツール・ド・九州2023」が開催された。九経連が誘致から運営まで関わった一大イベントだったが。
倉富 近年、大規模災害に見舞われた九州の復興、サイクルツーリズムや欧米豪からのさらなるインバウンド誘致を目的に実現することができた。大成功に終わったと思う。24年も開催に向けた準備を進めている。今回の成功を踏まえ、さらなるステップアップを図っていきたい。
―2024年はどのような年になりそうか。
倉富 引き続き元気で明るい1年になると思う。いや、もっと明るい1年になるのではないか。特に熊本県菊陽町に建設中だったTSMCが稼働し、年末くらいには製品の出荷が始まる。これに合わせ、関連企業によるサプライチェーンも本格的に動き始める。半導体を軸に強じんな産業構造を作り上げていくことが大きな課題になってくる。観光についても、インバウンドはコロナ前の水準に回復している状況。韓国や台湾、香港に加え、早晩、中国からのインバウンドも回復してくるのではないか。中国に関しては景気の悪化やALPS処理水の問題もあるが、日本に旅行したいというニーズやマインドは必ずある。人口の面から見てもアセアンやインドとともに世界経済をリードするポジションになるのが中国。地理的にアジアと近接している九州は、観光や産業面において強い連携を進めることが求められてくる。そのほか、九州Maasが本格的に始動するほか、ツール・ド・九州2024年も開催されることも明るい材料。そのほか、大型開発案件でも長崎スタジアムシティプロジェクトをはじめ、天神ビッグバンによる大型再開発プロジェクトなどの完成も控えている。大型フロア面積の供給により、空室率上昇を懸念する声もあるが、受け皿がなければ企業も人も福岡には来ない。まだ受け入れる余地があるという視点が大切だ。