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「のれんの一時償却」は今後の増益要因に ふくおかFG


柴戸社長インタビュー抜粋

福岡銀行を中心とする㈱ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市中央区大手門、柴戸隆成社長)は本誌9月号「地場主要企業トップインタビューに応え、前期赤字決算の要因となった「のれんの一時償却」の背景などについて語った。以下、インタビューを抜粋。

—17年3月期連結決算では、FFG発足後初めての赤字決算となった。

 柴戸 今後10年間で分割して行う予定だった「のれんの償却」を前倒しで一括償却したことに伴い、結果的に赤字を計上することになった。だが、これにより今年度以降は約90億円の償却負担がなくなるので、収益性は大幅に向上する。赤字決算ではあったが、今後の増益要因であることを踏まえれば前向きな対応だったと思う。アナリストやマーケットからもポジティブな評価をいただいている。

—のれんの一時償却に踏み切った理由は。

 柴戸 超低金利環境が長く続いていることが最大の理由。今後も収益の先細りが予想される中で、FFGに経営統合した熊本銀行、親和銀行の株式を再評価した結果、簿価に対して著しく下落していることが分かった。子会社株式が減損となる場合、のれん償却を行うのが会計上のルール。ただ、これまで両行が積み上げてきた利益や税効果は1400億円に上り、のれんの7割に相当する。現段階でも経営統合の効果は十分に発揮できていると認識している。また、948億円ののれんの一時償却を除けば、最終利益は405億円の黒字で計画比でプラス5億円となっており、堅調な利益水準を維持できている。

—10月予定だった十八銀行との経営統合が無期限延期となった。

 柴戸 公正取引員会の審査が継続中であることから、期限を定めずに延期することを決断した。この統合が長崎県経済の活性化に不可欠だという思いは変わらないので、今後も公取との協議を続けていく。

—FFG設立から10周年を迎えた。

 柴戸 あっという間の10年間だった。文化や風土が異なる3つの銀行が一つのグループとなる上では、事務・システムの統合や店舗統廃合、事業再生への取り組みと言ったさまざまな困難に直面した。決して平坦な道のりではなかったが、従業員の努力とお客さまや地域の皆さまのご支援もあって乗り越えることができた。次の10年間は「進化のステージ」に入り、ステークホルダーからの支持を獲得する「ザ・ベストリージョナルバンク」を目指していく。

2017年8月29日発行