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経営者賞に不二貿易の田坂会長ら4氏  九州・山口地域経済貢献者顕彰財団


 財団法人九州・山口地域経済貢献者顕彰財団(福岡市博多区博多駅前3丁目、四島司理事長)は、第37回(09年度)の「経営者賞」に家具、生活雑貨などの貿易商社、不二貿易株式会社(北九州市若松区)の田坂良昭代表取締役会長と、工業用の粘着製品の製造販売、株式会社サニー・シーリング(宮崎県都城市)の冨吉博文社長、各種ポンプ製造販売、本多機工株式会社(嘉麻市)の龍造寺健介社長、家庭用ゲームソフト企画・制作、株式会社レベルファイブの日野晃博社長・CEOの4氏に決定、4月22日にグランド・ハイアット福岡で表彰式を開催した。県内の各受賞者の略歴と表彰理由は次の通り。
 田坂氏は1931年2月7日生まれの79歳。54年東京にて米空軍将校向けの貴金属小売から出発し、64年に地元の北九州若松に同社設立。以後、45年以上にわたり、海外の安価で良質な商品を輸入し、全国に販売するビジネスモデルを構築した。現在では、アジアを中心に5カ所に海外事務所があり、世界24カ国のネットワークを持ち、スピーディかつ、小物商品にいたるまで充実した仕入れを実現。また商品開発に最重点を置き、家具などの大口商品から生活雑貨などの小口商品への転換を図り、従来のホームセンター中心からドラッグストアへの納入を開始。現在では生活雑貨の売上が全体の25%を占めるまでになった。経営面では自己資本比率39%と堅実で、採算面も堅調。97年に通産省から輸入貢献企業に選定された。2003年には、個人資産で「財団法人田坂育英基金」を設立し、日本との友好関係と人材の育成のための支援活動を行っている。同年に「社団法人北九州貿易協会」会長に就任し、北九州の貿易促進にも貢献。このほか、世界に通用する国際感覚を持つ人材の育成にも尽力。同社の09年7月期決算は売上高が71億98百万円、経常利益が2億69百万円。
 龍造寺氏は1960年6月24日生まれの49歳。51年に水ポンプ製造を開始以来60年間、業界随一といわれる技術力でオーダーメード型産業用特殊ポンプ一筋に事業展開する同社にあって、2005年に4代目社長に就任。同社は電力、製鉄、食品、半導体、石油・化学、水・廃水処理など多種多様な業種で事業を拡大。特許を15件以上取得しており、特に環境問題を重視した独自の新技術で、高い殺菌排出処理をする霧のような小さな泡を、世界で初めて大量に発生させることのできる超微細気泡大容量発生装置「マイクロナノバブルポンプ」を03年に開発。同氏が社長に就任した05年頃から海外進出を始め、現在、発電所で使用するボール循環ポンプ(海水を吸い上げる配管内をボールで洗浄する際に利用するポンプ)では世界各国で高いシェアを占める。06年には「国際事業部」を設立して大手商社、プラントメーカーなどと協力する形で、本格的に海外進出。中国やタイ、インド、シンガポールなど東南アジアを中心に全世界50カ国以上への納入実績が有り、海外の売上比率は40%にまで達する。業績面でも、経常収支比率が毎期100%を越え、自己資本比率49%と高く安定している。また外国人採用など人材の国際化に力を入れ、日本人の若手社員には博士号取得のために大学院に入学させるなど、他社にはない社員教育を行う。昨年日刊工業新聞社主催の地域社会貢献者賞を受賞。09年8月期決算は売上高が24億36百万円、経常利益が1億57百万円。
 日野氏は1968年7月20日生まれの41歳。福岡のゲームソフト会社を経て、1998年に同社設立。2年後の2000年にデベロッパー(ソフト開発会社)として第一作目の「ダーククラウド」(発売元・株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント)が国内外で百万本以上出荷するヒット作品となり、04年には、国内外で490万本以上の出荷を達成した「ドラゴンクエストⅧ空と海と大地と呪われし姫君」(発売元・株式会社スクウェア・エニックス)の開発を担当し、その名を広めた。07年には、作品の企画・開発・販売を一貫して行う同社初のパブリシャー(ソフト制作販売会社)の作品「レイトン教授と不思議な町」を発売。現在「レイトン教授」シリーズ4作品の国内外累計出荷本数が約920万本を数える。03年に、福岡のゲーム制作会社3社主催の初イベントを開催し、大成功を収め、05年には、九州・福岡のゲーム会社による業界のさらなる発展を目指す組織「GFF(GAME FACTRY’S FRIENDSHIP)」を設立。日野氏は現在GFF会長を務め、加盟も13社と増加。また、06年に「福岡ゲーム産業振興機構」をGFF、九州大学、福岡市の3者で設立。産・学・官一体で、「ゲーム界のハリウッド」を目指す。今後海外進出も計画して、本年度以降に米国と欧州に海外法人を設立する予定。08年には福岡市のサッカー競技場である、博多の森球技場のネーミングライツスポンサーとなり、「レベルファイブスタジアム」と命名するなど、地域貢献事業にも携わっている。実質無借金経営で、業績もこの5年間で売上は10倍以上伸び、現在、ゲーム業界で売上高は全国7位、九州トップ。今年7月期売上高は百億円の大台を予想。財務面でも自己資本比率62%、流動比率199%と高い。