INTERVIEW

NSC福岡校がスタート、福岡吉本若手芸人Voice2


吉本興業(株)(大阪市)は4月末、福岡市に芸人、タレント養成校「吉本総合芸能学院」(通称・NSC)福岡校を開校する。

同校は土日、祝日のみの講義に特化し、福岡から芸能界を目指す登竜門として運営する。ダウンタウンやナイティナイン、品川庄司など、これまで大阪、東京校から多くの芸能人を輩出してきたNSCにおいて、福岡吉本所属で入所経験のあるタレント2組を紹介する。

2組目は医師免許を持ち、「医者芸人」として活動をする芸歴3年目のヒロシマハジメさん。芸人活動以外では派遣ドクターなどとして活動しており、芸人になったきっかけなどの話を聞いた。(取材/金縄洋右)

インタビュー(1)はこちら

九大医学部卒、医師免許を持ちお笑いの世界へ

—医師の国家資格を持ちながら、なぜ芸人に。

ヒロシマ 久留米附設中学在学時からお笑いに夢中になり、憧れがありました。高校では医学部に入るため受験勉強。その後九州大学医学部に合格し、このまま医者になるのかなと。どこか煮え切れない気持ちがありました。

そこで大学2年生の時に吉本ではありませんが、お笑いオーディションのイベントがあり参加。遊び半分で、ネタも適当で挑むと、当時の審査員が僕の経歴を見て「君、医学部だよね?本気で芸人する気ある?どうせ医者になるのでしょ?そんな中途半端なやつはイラないよ」と言われ落選、悔しい気持ちでいっぱいでした。

そこから芸人を目指したいと気持ちが固まり、初期研修医が終わると医師免許がもらえるので、それを持って芸人活動を始めることにしました。

—よく研修先の病院は許してくれましたね。

ヒロシマ 研修先だった大分県中津市の病院の先生に、「初期研修終了後は大阪のNSCに行く」と事前に話していました。すると笑って「そんな人も現れる時代なのか」と理解していただきました。

—医療関係の仕事をしながら現在お笑い活動しているわけですよね。

ヒロシマ 主に健康診断や、夜間の当直などで九州内の派遣ドクターとして活動しています。

—一般的なアルバイトをしながら活動している芸人さんよりも、経済面では有利な印象も受けますが。

ヒロシマ そうですね。ほかの芸人に比べたら・・。一般的なサラリーマンと同じくらいは・・。いや、むしろそうなるためにここまで頑張ってきましたから(笑)

—そのような芸人さんはほかにはいらっしゃいますか。

ヒロシマ 東京の吉本には群馬大学を出て、私と同じで研修医を経て芸人になった人もいます。また、事務所は異なりますが、ワタナベエンターテイメントさんには東京大学理IIIを卒業し、耳鼻科医として開業後、50代でギャルと組んで芸人になった人がいます。

このように、今日本には「医者芸人」が3人います。その内の1人ですが、2人とも全国ネットの番組に出演したことがあるのですが、私はまだありません。ですので、なんとか、喰いついていきたいですね。

 

「芸人は人を笑顔にする仕事、医者と同じでやりがい」

 

—NSCが福岡でも始まります。もしかしたら同じような境遇の人が入ってくるかもしれません。

ヒロシマ どうでしょう。入ってこないでしょうが、入ってきて欲しくないですね。医者芸人はもう十分です(笑)

どうしても大阪などに比べると福岡吉本は人が少ないので、盛り上げていかないとですね。増えていくことに活気が出て、面白いネタを持つ人が増えましたら僕らのやるきにもつながり刺激になります。

—1期生に伝えたいことは。

ヒロシマ お笑い芸人は人を笑顔にする仕事です。医者も治療を通じて患者さんやその家族を笑顔にするといった点で似た部分があります。芸人と共通する面もあリ方向性は似ていると感じます。特に舞台で人が笑うと、僕らも笑顔になる。やりがいのある仕事なので、福岡からみんなで盛り上げていきたいですね。

—最後に、自身が目指す芸人像は。

ヒロシマ 病院で臨床に携わった経験がありますので、健康番組や主婦層が視聴する番組に出演したいですね。病院、医者あるあるなどのネタのほか、医療の経験を生かし、病気に対する考え方、予防法に患者と医者ではズレが生じますので、そこのギャップを伝えられる発信を分かりやすく、面白くしたいです。

ヒロシマハジメ(本名:廣島 肇(ひろしま はじめ))
福岡市出身。1987年1月30日生まれの31歳。
九州大学医学部卒。特技は各種医療手段(問診、診察、
怪我の縫合、心肺蘇生)