INTERVIEW
- 成長企業
設立3年、WEBコンサルで年商3億円/Maclogic
Tag: EC最前線
Webコンサルティングの㈱Maclogic(マクロジック、福岡市中央区天神3丁目、上田隆太社長)。
設立3年目で売上高が前年比2.3倍の3億円、当初3人だった人員も40人に拡充するなど、急成長を遂げている。
「デジタルコンサルの市場は毎年40%増で成長している。数年後には株式上場を目指したい」と語る上田社長に聞いた。
ミャンマーのWeb制作会社を買収
―ミャンマーのWeb制作会社Simple’Zを3月に買収しました。目的は。
上田 クライアントに対して「この方法で売り上げがアップする」といったアドバイスをするのが一般的なWebコンサルティングの仕事ですが、当社では運営代行などプランを具体的に実施する業務までサポートしています。「プランニング」と「実行」を両方提供できるのが最大の強みで、その実働部隊を担っているのが、Simple’Zです。
同社とはラボ契約を交わし、国内の顧客から受注したホームページやECの商品販売ページを制作する際、簡単な画像の切り抜き作業やバナー作成など大量の単純作業を委託していました。今回の買収を機に、関係性をより強化して強みに磨きをかける、というのが狙いです。
―Simple’Zの人員を現在の30人から100人規模まで拡充するそうですね。国内では採用面で苦労する企業が多いです。
上田 日本国内のWeb人材の有効求人倍率は7倍、ECに絞ると20倍と、採用は年々難しくなっています。ミャンマーはWeb人材がそもそも少なく、日本と同じく採用のハードルは高いです。そのため、日本語を学びたい、上昇志向が強い人材にプログラミングやスキルを教え、一から育てます。将来的には、現地に進出する企業に対してマーケティングや採用、Web関連でサポートするコンサル事業を展開していく計画です。
―設立3期目ですが、現在の事業規模と今後の見通しは。
上田 2019年6月期の売上高は1億3000万円、今期は前年比2.3倍の3億円を見込んでいます。社員数は前期末が10人だったのに対して4倍の40人(4月末時点)に増えました。当社は数年後中には株式上場を目指しており、21年6月期は売上高7億円を見込み、上場時の規模としては売上高20億円、社員数110人を予定し、今後さらに事業規模を広げていきます。
―具体的な事業戦略は。
上田 顧客の大半は、「楽天市場」「yahoo!」「Amazon」などいずれかのECモールに出店して伸び悩んでいる企業です。業務を受注して、まず現状のモールで成果を上げて信頼を得ます。次に複数モールに店舗展開して、面を取る形で売り上げを高める、というやり方で顧客を増やしています。
ここからが、今後飛躍していく大きなポイントになるのですが、戦略は2段階に別れていて、一つはクライアントに対するWebコンサルの舞台を「楽天市場」「yahoo!」などのECモールから独自ドメインの自社モールに広げます。自社モールの運営はECモールと違って集客面で苦労しますが、当社が持つ独自ノウハウを活用することで発信力とブランド力を高めて消費者を自社モールに集客します。現段階で自社モールの運営まで進んでいる顧客は4社、その手前となる発信力の向上に移行している顧客は十数社あります。
次に、自社モールへの移行に成功した企業の商品を海外向けに販売する「越境EC」の領域まで広げます。越境ECは商品の特性や現地でのマーケティング、販売戦略が噛み合わないと失敗します。当社では香港でアナリストの経験を持つ社員を4月に採用し、東アジアでマーケティング調査をしてノウハウを構築しているところです。毎年2倍規模で伸びている越境ECで成果を出せば、国内とは比較にならないスピードで成長する、それくらいのポテンシャルを秘めています。
久留米の一軒家、3人で創業
―これだけ成長が早いと、事務所も手狭になりそうですね。
上田 昨年8月に現在のオフィス(160㎡)に移ってきましたが、来年中には新しい場所を探す必要がありそうです。久留米市の古い一軒家からスタートした創業時が、ずいぶん懐かしいです。
―社長は大阪出身ですが、久留米を創業の地に選んだ理由は。
上田 当時は資金も乏しく、当社の取締役を務める平城の自宅の一角を借りたためです。私と赤松副社長、デザイナーの3人だけの世帯でした。
―創業の経緯を。
上田 大学時代から起業することが夢だったので、まず大手の仕組みを知ろうと2014年に楽天㈱に入社して、福岡には楽天市場のECコンサルタントとして赴任してきました。その時担当していたクライントに副社長の赤松が在籍していたのです。彼とは店舗の店長、コンサルタントという立場で、同社の店舗売上高を開始当初の5倍に伸ばしました。当時は楽天市場の全社員MVPも受賞し、16年には役職も付いて順風満帆だったのですが、会社に居続けて、出世していく“絵”が見えたので、在籍2年半で退
職しました。その過程で赤松と意気投合し、一緒に会社をつくることになったのです。
―今後も拠点は福岡に。
上田 そのつもりです。福岡に赴任して以来6年経ちますが、良い街ですね。ビジネス面でも福岡に居続ける方がメリットは大きいと思います。当社が東京のWebコンサルティングとして今と同じような成長をしていても、周りに埋もれてしまいます。
しかし、「福岡の企業」だからこそ目立ちますし、先日もメガバンクの役員の方々と直接お会いする機会があって、「東京ではこうはならない」と感じました。7月に東京支社を開設予定ですが、あくまでコンサルティングの拠点機能だけで、核となる機能は福岡に置き続けます。