INTERVIEW
ソラリアプラザに体験型のオーダースーツ店/FABRIC TOKYO
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アパレル業、ビジネスウェアのECサービスを手掛ける(株)FABRIC TOKYO(東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目、森 雄一郎社長)は2月19日、ソラリアプラザ(福岡市中央区天神2丁目)1階にオーダースーツ店をオープンした。同社のオーダースーツ店は2014年のブランドリリースから東京、名古屋、大阪で出店。今回が九州初進出で、19店舗目。
D2Cモデルで展開、スマホで注文可能なオーダースーツ店
FABRIC TOKYOが他のオーダースーツ店と違うのは、顧客のスーツ作りの体験をデータ化し、それに基づいた運営、戦略スタイルを敷いている点だ。初来店時に行う採寸でサイズや色やデザインの好みなどをヒアリングし、それらをデータ化。クラウド上へ保存したデータをもとに、購入者は2回目以降スマートフォンなどからネットオーダーが可能となり、オンラインでも手軽に自分に合った好みの商品を購入することができるようECサイトも構築。補正やサイズが合わなかった場合もスマートフォンで無料受け付けを実施している。
また、契約する繊維工場のIT化支援や、データ分析を導入したことによって製造の進捗状況可視化や、納期、人手不足の課題解消へも一役買っている。
このようにメーカーが自社で企画、製造した商品をリアル店舗とECサイトといった自社のチャネルを通じ、リアルの関係構築と顧客データをマーケティングに生かし一貫して販売する「D2Cモデル」を同社は業界内でもいち早く取り入れ、リアルとデジタル両面の体験価値を売っている。
今回の福岡出店について森社長は「東京の店舗に福岡県内に住むお客様から出店依頼の声が多く寄せられたのもあるが、当社Webサイトに福岡都市圏からアクセスが多くあったのが需要を確かなものと判断するきっかけになった」と語るように徹底したデータ戦略を用いている。
豊富な機能性生地と耐久性が強み、業界高水準のリピート率
天神店含む全店舗で常時約500種類の生地を用意し、機能性生地を充実させた。そのような強みから、飛行機や新幹線などで出張が多いビジネスマンにシワになりにくく、耐久性がある生地が人気のようだ。ターゲット層は20、30代の男性とし、1着あたり3万8000円(税抜き)からといった手頃さも売りの一つ。
斜陽産業とも言われるアパレル業界だが、「アパレルは多くの店舗で年間リピート率30%台が多いと言われる中、当社は44%と業界水準よりも高い数字を残している。この数は延べ数ではなくユニークユーザーベースで、毎年1・5倍のペースで伸びている」とリピーターが多いのも特徴。「オーダースーツに敷居の高さや面倒さを感じている人にぜひ体験いただきたい」とアピールする。
「オーダースーツを通じ誰もが自分らしいライフスタイルを」
FABRIC TOKYOでは提供するオーダースーツの定義を「個人が望むライフスタイル実現の方法、手段」と掲げる。
「オーダースーツはお客様の体型にフィットすることがベストだと思われがちだが、その重要性は半分くらいの価値だと考える。当社では、例えば、仕事上でのスーツの課題で代表的なのが着こなしの悩みで、そのような悩みを持つ人が満足する着心地のオーダースーツを提供し、それぞれのライフスタイル上の価値観にフィットしたブランドにする意味を体現した“FIT YOUR LIFE(フィット ユアライフ)”を提案する。単にモノを売るのではなく、オーダースーツを通じ新しいライフスタイルを提案、体験してもらうことで、誰もが自分らしいライフスタイルを自由にデザインできるオープンな社会創りにつなげたい」と森社長は目を輝かせる。
昨年、メンズパターンでつくる女性向け企画や無人店を出店し、今年に入っても「性別を聞かない店舗」といった限定店舗を出店。ITと連動した独自のサービスも次々と生まれているという。「2020年は国内主要都市を中心にさらなる店舗展開を構想。海外進出も視野に入れている」と語るなど、今後の躍進が注目を集めそうだ。
FABRIC TOKYO ソラリアプラザ天神店
福岡市中央区天神2-2-43(ソラリアプラザ1階、LOVE FM隣)
営業時間 午前10時から午後8時30分まで
森 雄一郎 社長/岡山県出身。1986年4月8日生まれの33歳。国立香川大学卒業後、ファッションイベントプロデュース会社へ就職。その後、不動産ベンチャーの創業期に参画、フリーマーケットアプリ「メルカリ」の立ち上げにも携わった。2012年に前身の(株)ライフスタイルデザインを創業。18年3月1日に現在の(株)FABRIC TOKYOに社名変更。
【金縄洋右】