FEATURE

ふくおか経済EX 2009

室町ケミカル㈱


“チャレンジと実現化の努力”を原動力に急成長

同社を牽引する課長メンバー。写真中央が村山哲朗社長

09年5月期売上高は前期比1.4倍見込む

「“チャレンジ”と実現化の努力」を全社員の目標に掲げ、成長を遂げている企業がある。医薬品、化学薬品メーカーの室町ケミカル㈱(村山哲朗社長)だ。09年5月期売上高は、前期比1.4倍の39億円を見込んでおり、新規事業が前期比1.8倍の伸びを見せている。
同社が転換期を迎えたのは4年前。従業員が100人を超え、組織が拡大し始めた時、全社の目標として「チャレンジと実現化の努力」を掲げたことだ。村山社長は「私自身、チャレンジが好きで仕事を続けている。これに賛同してくれる仲間を増やしたかった」と振り返る。新規事業に限らず、すべての社員がチャレンジすること。そして、ただチャレンジするのみならず、努力して実現化するまでを重視するのが村山流経営法だ。

営業1課メンバー(左下から)中川洋、塩野谷涼、平田大介(左上から)秋山正樹、井内聡、榮鉄舟、緒方英二

「失敗にめげずさらに1歩を」経験重視の村山流経営

同社が成長を遂げる理由に、チャレンジし続ける姿勢、そして若手社員に“チャンス”を積極的に提供することが挙げられる。その特徴として、管理者4人、部次長8人に対して、課長職を20人設け、平均年齢が35歳と20代後半から30代の社員が占めている。若手社員を積極登用する理由について「チャレンジに失敗はつきものだが、その失敗にめげずに次のヒット商品、幹になる事業を生み出してもらうという経験をより多くの社員にしてもらいたい」と思いを語る。現在、「医薬品」、「健康食品」、「イオン交換樹脂」、「化学メッキ薬品」、「給排水設備」、「自動車用部品」と6事業を展開するが、昨年12月末、新たな事業が立ち上がった。村山社長は「久々の新規事業にどのようなことが起きるかワクワクしている」と胸を弾ませる。
次に、昨年立ちあがった新規事業部メンバー、営業3部隊のうち「イオン交換樹脂」を担当する営業1課、健康食品を企画、製造する営業2課メンバーの声を紹介する。

新規事業室メンバー(左から)河原政人、松岡斉、平山昭元、小柳奈未、有田寧玲

「チャンスは自ら見出せ!」仲間とともに奮闘する日々

「経済状況をできない理由にせず、自分たちができることが何かを今一度考えて前進していきたい」。柔和な表情ながらも、力強く語るのは、昨年4月、営業一課の次長兼課長に就任した塩野谷涼さん。
同課は、工業や医薬、食品など多方面で使用される純水を作る「イオン交換樹脂」を提案している。「メンバーは7人。20代が2人、30代が5人と平均年齢も若いが、何よりの強みは結束力」と塩野谷さん。設備投資からメンテナンスと長期スパンの仕事が多い中、メンバー全員で情報を共有し、話し合い仕事をしやすい環境を作り出しているという。「これからは、イオン交換樹脂でレアメタルなどの有化物を回収し、リサイクル視点での提案へとすそ野を広げていきたい」と目標を語る。
設立から約4年で、急成長を遂げるのが健康食品を企画、製造する天洋社薬品㈱だ。現在9人のメンバーで日々、商品開発に取り組んでいる。

 
天洋社薬品本社メンバー(左下から)下山直香、西島治香、阿部真樹子 松野智美(左上から)諏訪猛、中吉寛、川野信行、滝澤健一

 

05年の開発後、リニューアルを重ねる栄養機能食品のスティックゼリー「凛乃華(りんのはな)」は、剤形に独自性があること、食べておいしいという点が評価され、OEMが増加し、同社ヒット商品となった。「一つの商品が長く続くことはないので、売れる新商品づくりに夢中になっている」と次なる目標を冷静に見据えるのは、中吉寛次長。現在、食べておいしいものをつくるというコンセプトで、デザートソースやドリンクソースなどが試作されている。「既存ユーザーの掘り下げ、そして新規顧客を開拓し提案型営業を強みに成長していきたい」と松野智美課長。一事業からスタートした部門が、一企業へと大きく転身していく力を垣間見た。
昨年11月、全社員に村山社長からメッセージが送られた。『新規事業室を開設する。よって、やる気のある社員を募集。上司に相談する必要はない』。この募集に12人の応募があり、平山昭元部長をはじめ5人のメンバーに決定した。

活発に意見が飛び交う新規事業室メンバーの会議

 

「社長から通達されたのは、2012年までに売上高を5億円にすることのみ。だからこそ、面白いと思う気持ちの方が大きい」と平山部長。同課メンバーの河原政人さんは「私に何が足りないかなど冷静なアドバイスや判断をしてくれる反面、仕事にとことんつきあってくれる情熱的な姿を持つ平山部長と毎日を過ごすのはとても刺激的。仕事の幅を広げるためにも、英会話力をつけること、そして私自身が強くなることが目標」と語る。事業部立ち上げから、3ヶ月で計100の企画書を作成することと平山部長からの課題に対し、現在60の企画があがるなど、メンバーの力入れも伝わる。平山部長は「仕事には適度なプレッシャーとチャレンジして成功するという実体験が大事。メンバーそれぞれに味わってほしいし、私自身も仕事を楽しみたい」と笑顔で答えた。
社員一人ひとりのチャレンジ精神を礎とした盛り上がりを追い風に、6カ年計画の「10‐50計画」、2010年までに売上高50億円体制になるという目標達成がいよいよ目前となった。今後の同社の動きがますます見逃せない。

東京ビッグサイトで開催された「健康博覧会2009」では多くの人がにぎわった

 

企業DATA
【所在地】〒836-0895大牟田市新勝立町1-38-5
【TEL】0944-41-2131
【FAX】0944-41-2133
【創立】1917年1月
【設立】1947年7月
【資本金】6000万円
【事業内容】医薬品一般製造、健康食品の製造販売関連、イオン交換樹脂の処理関連など
【年商】39億円(09年5月期見込み)
【代表者】村山哲朗
【従業員】184人(社員157人、パート27人2009年1月21日現在)
【出先】(支店)東京
【URL】http://www.muro-chem.co.jp

採用情報
●募集要項:管理薬剤師
●応募資格:薬剤師免許
●問い合わせ先:総務部まで TEL0944-41-2131

(ふくおか経済EX2009年)