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(株)太平環境科学センター
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自動化による社員満足をCSのさらなる向上に
(写真)坂本社長と高橋取締役(前列)と女性スタッフ。
現在は全社員の半数を女性社員が占めるなど、自動化による生産性の高さが女性の活躍を後押しする職場環境を作った
分析工程のロボット化を進め、分析の高速化と精度の安定化を実現。業務の自動化は生産性向上への具体策として、労働時間の短縮や女性社員の働きやすさなど職場環境に大きな変化をもたらし、またSDGsに取り組むきっかけも作った。今後も自動化への飽くなき追求で新境地を切り開き、業界での競争優位を目指す。
経産省の「地域未来牽引企業」に
「ロボットは人を助ける」。この信念のもと、早くから分析業務の「自動化」による働き方改革を実践し、合わせて「業務の高速化」と「精度の安定化」をも両立させ、競争力の強化と顧客満足度の向上につなげてきた。 「一人当たりの検体処理数は自動化する前(10年前)の約2倍」。生産性向上と省力化を実現した坂本社長の表情は明るい。長時間労働が当たり前だった労働環境は改善し、社員のリフレッシュ休暇や有給の取得率もアップした。また単純作業をロボットに任せ、人は人らしい仕事に専念できる環境を作れたことで社員の業務領域も拡大。その結果、現場目線の問題点や課題も発見され、その課題を解決しようとする社員一人ひとりの意識の向上が、自動化を推進する原動力になっている。これらの取り組みは高く評価され、2020年10月には地域経済を支える魅力的な企業として経産省の「地域未来牽引企業」に選出されている。 最近ではRPAとの連動による請求書発行業務などホワイトカラーの自動化にも着手。今後も分析工程の自動化と高度IT化(DX化)をさらに進め、労働集約型から設備集約型へのビジネス転換を図っていく。
(写真)6月に完成予定のn-ヘキサン(ノルマルヘキサン)抽出物質自動分析装置の完成予想図。自動化により、夜間を有効活用した分析作業が可能となる |
女性取締役誕生、SDGs戦略にも弾み
働きやすい職場環境が社員の定着率を上げたことで、女性社員も今や全従業員の半数を占めるまでになった。そんな中2020年10月に就任したのが高橋麻紀取締役管理部長だ。5人の子育てを経験し、パートから社員、管理職を経ての今回の登用に、「天真な性格が社内に明るさと活気をもたらしている」と早くも女性リーダー誕生による社風の変化に目を細める坂本社長。今後も「えるぼし認定」(三ツ星)の維持向上に努めるなど、女性活躍を後押しする環境整備には引き続き力を入れる。 またこれまで築いた社内インフラを基盤に、今期はSDGsも新たな行動指針に掲げる。「半世紀近く環境事業に携わってきた以上、地球環境維持に貢献するのは当然のこと」。坂本社長はこれまで取り組んできたことの絶好の検証機会と位置付け、進むべき方向性と実践内容の精度を高めるツールとして社員の意識改革に生かす。
(写真)SDGsへの理解度を深めてもらおうと定期的に実施する勉強会 |
6月には新装置、産学連携プロジェクトも進行
これまで「自動分注機」を皮切りに、「自動細検査装置」「自動BOD検査装置」「自動MPN検査装置」「自動ろ過装置」を開発し、特許も4つ取得した。今後は水中に含まれる油分の指標となるn-ヘキサン(ノルマルヘキサン)抽出物質自動分析装置の完成を控えるほか、アスベストの調査・分析業務については、X線回折装置を導入する新たな設備投資も予定。さらに2022年度中の実用化に向け長崎大学と共同で進める水質調査用ロボットの開発も大詰めを迎えようとしている。 組織が一体となり業務の自動化を追求することで業界での競争優位を築いてきた。それによって手間のかかる小口案件にも柔軟に対応し、検体数の多い大口需要に頼らない安定した経営基盤を確立していることも強みの一つ。今後はどのような装置が生まれるか。その動向に注目だ。
【DATA】
所在地/〒812-0863 福岡市博多区金の隈2-2-31
TEL/092-504-1220
FAX/092-504-1523
設 立/1973年7月
資本金/4,000万円
事業内容/飲料水検査、水質・土壌・大気分析、ダイオキシン類分析、アスベスト分析、土壌汚染状況調査
年 商/6億700万円(20年6月期)
従業員/67人
出 先/(事業所)長崎試験所(営業所)佐賀、大分、熊本、北九州
URL/http://www.taihei-esc.com/
採用情報
募集職種/技術系
応募資格/大学院、大学、高専、短大の理系卒者(特に「化学系」を専攻された方を歓迎)経験者歓迎、特に環境計量士で管理経験者優遇、業界未経験OK
担 当/(管理部)龍
(ふくおか経済EX2021年)