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ふくおか経済EX 2018

(株)ワーコンプロジェクト


IoT、AI活用で地域に第2のナースステーションを構築

超高齢化社会で改革が迫られる在宅医療業界へ布石を打つべく、看護師がITを駆使した看護り事業「ウォッチコンシェルジュ」サービスを開始した。「決して独りで逝かせないー」。その思いを胸に、医療チームが地域に第2のナースステーションを構築し、革新的地域包括ケアシステムを提供する。

ITを活用した、医療現場経験者による看護りサービス

医療機関や民間企業と連携し、24時間の看護りを手掛ける「ウォッチコンシェルジュ」サービス。同サービスでは、独自開発の非接触型活力センサーやOEM製品の携帯心電計(心電図、血圧、サチュレーション)などを看護り対象者の居住空間に設置。測定値を、現場を離れた看護師など医療知識が豊富なスタッフで構成している看護りコールセンターにICTで送り、24時間体制でモニタリングする。また、宅配クリーニングや家事代行会社など民間企業と提携し、生活面も同時にサポートするなど、細やかな気配りでトータルサービスの仕組みを整えている。
一方、2016年10月からは、ロボットメーカーの㈱MJI(東京都港区、トニーシュウ社長)が開発したAIロボット「タピア」を事業に導入。AIでの簡単な会話や遠隔操作による周囲の確認、モニターを通じて顔を見ながらの通話などが可能で、大幅にコミュニケーションの領域を広げた。これらの技術を駆使することで、同社が〝第2のナースステーション″となり、これまで夜間や勤務時間外にも過酷な労働負担を背負っていた訪問看護師は緊急時のみの出勤が可能となるのだ。
さらに、現在は大手通信会社と連携し、医療面から生活面まで患者を取り巻くすべての情報を共有することによる革新的なポータルサイトシステムを構築中だ。青木社長は「完成すれば、地域包括医療で抱えている情報共有におけるほとんどの問題が解決できる」と自信を覗かせる。

“自分の最期”に向き合意識改革セミナーの展開へ

病床数の削減が打ち出される今、在宅医療に向き合う同社では、「自分の最期を自分で決める時代」の到来を言及する。多くの人が、最後に意識を失った時に備えた意思表示をしていないことで“病院頼み”となっている問題点を指摘し、「人生観や死生観を養うことで、自分の最期から逆算した人生の設計をする必要がある」と青木社長は訴える。その現状を打破するため、同社では今後、臨床宗教師や弁護士など有識者を招いたセミナーなど意識改革のプロジェクトを構想。学校教育や地域で展開を進めていく考えだ。

ウォッチコンシェルジュによる会議風景

潜在看護師が再び働ける在宅ワークの仕組み

医療現場を離れた看護師たちが、在宅医療の人材不足を食い止める大きな鍵だ。同社では、そういった潜在看護師の創出を図るべく、クラウドコールセンターシステムを構築。インターネット環境があればエリアを問わず、時短で働けるという在宅ワークの仕組みを取り入れた。本部と連絡を取り合い、生体センサーで容体をチェックするオペレーターとして活躍する部隊で、「医療現場を熟知したスタッフがサービスに加わることが大きな付加価値となっている」と青木社長は言及する。

「人生最後の伴走者に」

訪問看護ステーションの仕組みができた約30年前に青木社長が思い描いていたという「ウォッチコンシェルジュ」サービスが今、動き出した。「患者と家族にとっての最良を考え抜くには、長年現場で培った感覚が必要」と青木社長。「人生最後の伴走者になりたい」という思いを胸に、同社の挑戦は続いていく。

青木 比登美 社長
あおき・ひとみ/福岡市出身。1966年9月9月生まれの51歳。九州大学医療技術短期大学部看護学科卒業後、九州大学医学部付属病院に勤務。専業主婦を経て、2010年市内の透析・内科クリニックの開院に看護部長として携わる。その後、11年コールセンター事業を学ぶため㈱KDDIエボルバの新規コールセンター管理職に転職。16年7月に同社を設立

 

【DATA】
所在地/〒812-0016 福岡市博多区博多駅南1-4-10
TEL・FAX/092-260-7610
設立/2016年7月
資本金/400万円
事業内容/在宅医療チームのコーディネート、高齢者看護りサービス、コールセンター業務、遠隔診療支援、デバイス販売
従業員/10人(パート含む)
URL/http://www.wa-con.com

【採用情報】
募集職種/システムオペレーター
応募資格/看護師免許取得者
問合せ先/TEL.092-260-7610
担当/木原

(ふくおか経済EX2018年)