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(株)九州不動産管理センター
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春吉地区でホテル事業を始動へ
(写真左)今年11月完成予定の第1号ホテル(春吉3丁目)
(右上)昨年12月にリニューアルオープンした「THE HOTELS HAKATA KASANE BAYSIDE」(博多区築港本町)
(右下)第2号ホテル(春吉3丁目)の完成予想図
分譲マンション用地や工場・倉庫用地などの不動産売買を手掛ける㈱九州不動産管理センター。近年は主力の売買事業が好調で、2019年11月期の売上高は前期比1.5倍の41億円を計上し、過去最高業績を更新した。一方で、春吉地区の地の利を生かしたホテル事業もいよいよ始動。現在第1号ホテルを建設中だ。
春吉地区でホテル事業を始動
福岡市の商都・天神や西日本一の繁華街・中洲へのアクセスが良好な“春吉地区”の地の利を生かした、ホテル事業「春吉宿場町計画」がいよいよスタートする。「当地区一帯の街並みは、江戸情緒あふれる“宿場町”に類似。ラグジュアリーさ、和モダンを備えた宿泊施設を展開することで、インバウンド客から人気の高い宿場町らしさを一層演出できる」と国内客はもとより、欧米や東南アジアを中心とした訪日外国人の宿泊需要を取り込む考えだ。来客には宿場町を体感させるべく、浮世絵師・歌川広重が描いた「東海道五十三次」の観賞用作品を各ホテル内に展示するなど一工夫を凝らすという。そのほか大重社長がシステム開発会社出身のため、IoTの活用など最新のテクノロジー導入にも意欲的だ。今後は社長の名字“大重”と“春吉”からブランド名の着想を得た「春重」シリーズをもとに、現段階の計画では今年度2棟、来年度4棟の竣工を予定。第1号ホテルは今年11月完成を目指し、春吉3丁目に建設している。建物は鉄骨造の8階建てで延べ床面積480㎡、建築面積70㎡。1階は受け付けやラウンジ。2~8階が各階2室の総客室数14室、外観は木の縦格子で覆うなど和の要素を採用する。5~6月初旬には、春吉2~3丁目内に2号目と3号目案件が着工。すでに春吉地区では第6号案件まで用地取得済みで、順次建設を進めていく。完成後は宿泊施設管理の関連会社、㈱KASANE(福岡市)が運営。「将来的には主軸の不動産売買に並ぶ事業の柱に据えていきたい」と大重社長は目を輝かせる。
(写真左)昨年10月に取得した温泉宿「旅想 ゆふいん やまだ屋」(大分県由布市湯布院町) (右)今年3月に完成した「クレオン七隈」(城南区七隈) |
主力の売買事業が好調で2019年11月期の売上高は41億円
創業時から不動産売買仲介を主力に収益基盤を築いてきた同社だが、2013年から分譲マンション用地や倉庫・工場用地などの不動産売買への転換を図った。一般的な売買業にとどまらず、同社では築古物件(テナントビルなど)を積極的に取得、解体・整地工事に着手し、開発業者向けに付加価値の高い土地を供給している。こうした案件を手掛ける中、「入居者への移転依頼の交渉など長期化するケースもある」といい、各社員は社是「考えられる限りの想定のもと」を指針とし着実に案件を進めるべく、あらゆる事態に対応できる事前準備に力を注いでいる。
一方で、事業領域の拡大に余念がない同社では15年から投資用物件の開発・販売に着手。総工費6億円を投じて開発した商業ビル「i.CUBE」(中央区今泉)を皮切りに、西区姪浜、城南区別府では自社ブランド「クレオン」シリーズのアパ―ト4棟の開発実績がある。「アパートについては単身のビジネスマンや学生をターゲットに、立地は市営地下鉄の主要駅へのアクセスの良好さにこだわっている」と現在は満室状態。今年3月には、城南区七隈4丁目に同社初の開発となる賃貸マンション「クレオン七隈」を完成させた。6階建ての物件で完成前の2月時点で、全23戸の入居申し込みが完了している。また、これまで九州不動産管理センターの開発物件は個人投資家向けに販売したのち、㈱KECCが管理を行うケースも多く、グループとして収益のベースを厚くしてきた。今後も投資用物件を中心に管理戸数を増やしていく。事業が好調の証左として、2019年11月期の売上高は41億円と過去最高業績を更新。大重社長は「不安視される不動産市況のため、気は抜けない」と謙虚な姿勢をみせ、今後も着実に事業を推し進めていく方針だ。
大重 勲 社長 おおしげ・いさお/大分県宇佐市出身。1942年12月25日生まれの77歳。長崎大学経済学部卒。趣味は弓道、旅行 |
(ふくおか経済EX2020年)