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室町ケミカル(株)
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大牟田本社の企業として初のジャスダック上場達成
2月26日、大牟田市に本社を置く企業として初めて、ジャスダックスタンダード市場に上場した室町ケミカル㈱。初値は公募価格の約1.7倍で、市場からの期待の高さを示した。この評価に応えるべく、医薬品、化学品、健康食品の主力3事業を軸に「特長ある技術営業集団」を目指し、さらなるスキルアップに挑戦していく。
「特長ある技術営業集団」へ
2015年から上場へのチャレンジをスタートし、19年から本格的にスイッチを入れて加速。不採算事業からの撤退とともに生産・製造体制の見直しによる経営資源の集約で、安定的な利益の確保を実現してきた。その中でも主力の医薬品事業と化学品事業が堅調に業績をけん引して底上げに貢献。また、筋肉質な組織体質改善に取り組んできたことで、20年からの新型コロナ感染症拡大という状況下でもほぼ計画通りに推移し、「事業戦略は間違っていなかった」という自信にもつながったという。
準備の本格化から約2年間で株式公開を達成し、初値は公募価格の約1.7倍を記録。市場からの期待の高さを感じられるが、「評価をいただいたことはありがたい。しかし、これは期待値としての数字。これから着実に信頼に応えていくことが重要」と気を引き締める。上場によって技術も含めた認知度向上と優秀な人材の確保を図り、調達資金を医薬品事業における大型開発案件への設備導入費用として活用することで、「特長ある技術営業集団」を目指していく。
(写真上)Tパウチタイプを紹介する青木社長 |
主力3事業から生み出す新たなチャレンジ
「新たなチャレンジと実現化の努力」という企業理念の通り、104年の歴史とともにチャレンジ精神を受け継ぐ同社。今後の方針として、主力3事業を主幹とした戦力集中の継続による成長戦略を掲げる。「主力3事業に多様な開発案件の依頼をいただいており、まずはそれを一つひとつ着実に成功させていくこと。そのチャレンジの過程や結果から新たな枝葉が生まれ、そこからコアな事業や製品に磨き上げ、成長していくことが理想形」と考えを示す。
主力3事業では、医薬品事業の主軸として順調なポリスチレンスルホン酸カルシウムに加えて、バルプロ酸ナトリウムとバラシクロビル塩酸塩の2種類の輸入原薬の顧客が拡大しており、短中期的戦略としても堅調な推移を見込む。一方で中長期的には、自社工場での原薬製造の新案件への対応に向けて、設備投資も含めて検討しながら計画を進めており、原薬商社と原薬メーカーの2つの機能を最大化し、付加価値を高めていく方針だ。
50年以上にわたり分離精製などの液体処理技術を培ってきた化学品事業においては、半導体や燃料電池分野を筆頭としたニーズが活況で、「高純度・高強度」を大きなテーマに多くのリクエストが届いている。特にイオン交換樹脂に関しては供給不足の状況となっており、仕入れ・輸入先の拡大とともに、自社の評価技術と連携する形で複数の海外メーカーとの共同開発も進めており、新たな供給源の開拓で対応していく。
健康食品事業では、OEMならびに商品設計から関わるODMを中心に展開。これまでの主力であるスティックゼリータイプよりも容量を大きくできるTパウチタイプゼリーの製造も開始し、開発案件数も伸長傾向にあることで今後の成長に期待を寄せている。「大牟田初」の上場企業として、地域からの注目度も高く、雇用創出による地域活性化への役割も担う同社。「まずは再び売上高50億円の壁を突破し、しっかり利益を確保して評価と期待に応えていきたい」と力強く宣言した。
青木淳一 社長 あおき・じゅんいち/群馬県太田市出身、1965年8月30日生まれの55歳。国立群馬高専工業化学科卒業後、86年4月カネボウ㈱入社、2005年3月日東グラステックス㈱入社、07年4月日東紡績㈱入社、10年7月に室町ケミカル㈱入社後、13年8月に執行役員つくば工場長、14年6月執行役員生産本部長、15年8月に取締役就任、16年8月から常務取締役。19年12月に社長就任 |
【DATA】
所在地/〒836-0895 大牟田市新勝立町1-38-5
TEL/0944-41-2131
FAX/0944-41-2133
創業/1917年1月
設立/1947年7月
資本金/6,000万円
事業内容/医薬品製造販売、イオン交換樹脂処理販売、水処理装置設計販売、健康食品製造販売など
年商/52億8,000万円(2020年5月期)
従業員/270人
URL/https://www.muro-chem.co.jp
採用情報
募集職種/(大学卒)総合職(高専卒)技術
応募資格/営業:大学卒(全学部全学科) 技術:高専卒(機械・電気系)
採用実績/2021年度4人
採用予定/5人
問合せ先/TEL0944-41-2131 担当 江口
(ふくおか経済EX2021年)