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太平環境科学センター
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精度と速さを追求した世界初の自動分析装置を開発
飲料水や環境水等の水質分析をはじめ、土壌・底質分析、さらに排ガスや臭気測定、細菌検査など、幅広い分野から分析業務を受託。その精度の高さとスピードには定評があり、最近は自動・省力化された分析装置を独自に開発し注目を集めている。
環境法規制の強化を追い風に急成長
同社は1973年7月に分析技術を通じて公害防止に寄与することを目的に創業。当時は高度経済成長とともに公害防止の機運が高まり、水質汚濁防止法や大気汚染防止法などの環境法規制の相次ぐ強化を受け、工場排水の分析や工場のボイラー排気ガス測定など、主に公害対策分野における業務を幅広く受注していく。
同時に社会問題となっていた赤潮対策として海底から溶出してくる物質を調査する海洋調査業務も好調で、急速に企業規模を拡大。以来、「快適な生活環境の保全に貢献すること」という理念のもと、仕事を通じて顧客と直接的に向き合うことで信頼を獲得し、また時代のニーズを的確に捉えることで日々分析技術を磨いてきた。
充実感に満ちた表情が印象的な社員。業務の自動・省力化は職場環境の改善と同時に組織としての結束力を高めた
ダイオキシン類の分析受注量は九州一
2001年からはダイオキシン類や環境ホルモンなどの極微量分析も開始。同分野は非常に高い精度が要求されるが、同社は2台の高性能分析機器を有する充実の体制で、受注量は九州ナンバーワンを誇る。また厳しい精度管理への評価も高く、全国に1500社ほどある分析業者のうち、環境省が定めるダイオキシン類の受注資格審査において、水、土壌、大気などの10媒体に合格しているのは九州では同社だけだ。
分析装置の自社開発で品質保証とコストダウンを両立
しかし近年は大手などの新規参入などによって価格競争が激化。それに伴い問題となってきたのが、「品質保証」と「コストダウン」をいかに両立させるか。坂本社長は、そんな二律背反の課題を解決するべく、分析業務の自動化に着手するという大胆な舵を取る。
そして大規模な設備投資の末、開発したのが「自動検査水分注機」と「自動一般細菌・大腸菌分析装置」。分析装置の完全自動化を実現したのは世界初で、一度に大量のサンプルをスピーディー、かつ正確に分析できる体制を独自に構築したのである。すでにこれらの装置には多方面から高い関心が寄せられており、今後は受託業務に加え、分析装置の販売も視野に入れるなど、新たなビジネスチャンスの創出にも期待が高まる。
創業40周年を記念し昨秋には初のハワイ研修を実施
自動化が生んだ働きやすい職場環境
また自動分析装置の登場は、社員の労働時間短縮という新たな効果ももたらす。以前は業務の特性上、結果の即時性や納期短縮などの顧客からの要求に応えるため、社員が長時間労働を強いられることもしばしば。結果として若手社員の定職率が低いという由々しき問題にも直面してきたという。しかし自動分析装置や新システムの導入で業務を省力化できたことで、今では週二日のノー残業デーが定着。しかも効率的に働く意欲が芽生えるなど、社員の意識にも大きな変化が生まれた。
「良い道具を使って人間らしく働く環境を作ることが、真の生産性向上であることを実感している」と目を細める坂本社長。今年は創業40周年という節目を迎える。これからも積極的に自動化に取り組むことで、他を寄せ付けない分析力、そして働きやすい職場環境作りを追求し、新たなステージでのさらなる飛躍を誓う。
坂本 雅俊 社長 久留米市出身、1957年8月30日生まれの55歳。久留米工業高等専門学校卒、趣味は山登り、読書 |
〈企業DATA〉
所在地 〒812-0863 福岡市博多区金の隈2-2-31
TEL 092-504-1220
FAX 092-504-1523
URL http://www.taihei-esc.com/
設立 1973年7月
資本金 4,000万円
事業内容 大気、水質、底質などの一般分析、ダイオキシン類、環境ホルモン極微量物質の測定、環境調査ほか
年商 5億円(2012年6月期)
従業員 61人
出先 (事業所)長崎試験所(営業所)長崎、佐賀、大分、山口
(ふくおか経済EX2013年)