FEATURE

ふくおか経済EX 2012

㈲柴田熔接工作所


人とのつながりを大事に来年創業50周年

業務用冷凍冷蔵設備をはじめとする、各種冷熱装置製造の㈲柴田熔接工作所は今年4月、宮城県石巻市に冷熱機製造の工場を開設する。また8月には、イタリアの電子膨張弁やコントローラーなどを製造するキャレル社と合弁で福岡市内に日本法人「㈱CAREL JAPAN」を設立するなど精力的な事業展開を進めている。

多くの出会いを成長につなげる

魚の鮮度を保つために欠かせない氷を作る製氷機や冷凍冷蔵装置、食品プラント機器。それら魚市場や水産加工場で使用する機械を製造している㈲柴田熔接工作所(福岡市南区塩原3丁目、柴田勝紀社長)は、来年で創業50周年を迎える。柴田社長は「当社の社長に就任する前にも同業他社に勤務しており、当時を含め多くの人との出会いが今の会社経営につながっている。様々な国や立場の人からたくさんのことを教えていただいたと同時に、一緒に成長してきた。今後も国内外を問わず出会いを大事にし、社長、社員一人一人がしっかりとした考えを持ってレベルアップを図っていきたい」と語る。

石巻市に冷熱機工場を開設

同社は今年4月、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市の石巻魚市場付近に装置生産工場を開設する。柴田社長は「以前から東北3県(青森、岩手、宮城)の水産会社、特に石巻市の「和久魚問屋」とは親交が深く、復興に向けて何か力になれないかと考えていた。水産業が成り立つためには業務用の製氷機や冷凍装置は必要不可欠。そこで今回、現地に工場を開設することを決めた」と工場建設の経緯を語る。仕事を求める人もおり魚も捕れるが、流通させるためのインフラが整っていない東北水産市場。同社の工場が稼働し、製氷機や冷凍装置を安定供給できるようになることで、東北水産市場は漁業復興に向け新たな一歩を踏み出すことになる。

今年2月の展示会の様子

8月に海外製品販売の合弁会社設立

また、同社は海外の製氷機、冷凍空調メーカーとの交流にも積極的だ。09年7月に本社近くにオープンした全国的にも例を見ない冷凍空調・冷熱機器のショールームでは、自社製品、海外製品を合わせて常時15点ほど展示している。
冷凍空調業界では、省エネやエコの基準を設けて課税するなど規制の厳しいヨーロッパの技術が日本の約10〜15年ほど進んでいる。同社は特にイタリアのキャレル社との親交が深く、キャレル製品とアライアンス契約を結び日本での販売を開始している。柴田社長は「キャレル社の製品は非常に高品質。世界的に見るとイタリアはもちろん、アメリカ、中国、ブラジルなど4カ国に生産工場を持ち世界市場にキャレル製品が流通しているが、日本の市場にはまだ入って来ていない」と高品質製品が導入されていない日本の現状を語る。
それを踏まえ同社は今年8月、キャレル社と合弁でキャレル製品を日本国内で販売する「キャレルジャパン」の福岡市内設立を予定している。「日本の冷凍空調製造会社が海外の製造会社と共同で現地法人会社を設立するのは初めてのケース。高品質なキャレル社製品を日本の冷凍空調業界に幅広く導入してもらいたい」と日本市場へのキャレル製品普及に力を入れる。
柴田社長は「当社は〝ものづくり〟の会社。キャレル製品の販社を設立しても、当社も製品を作るという基本の部分は変わらない。〝ものづくり〟の会社としてわたし自身が方針をしっかり持ち、より質の高い製品を作り続けていきたいと考えている。また、お客様は同じプロジェクトを同じ立場で完成させていくパートナーであるという感覚を大事にし、本音で付き合うというグローバルな意識を持っている。一つ一つの案件に対し、価格で勝負するのではなくあくまで品質で勝負し、お客様とともに成長していきたい」とさらなる成長を誓った。

柴田 勝紀 社長
福岡県福岡市出身。1965年8月31日生まれの46歳。国際航空専門学校卒。趣味はドライブ、陶芸

 

企業DATA
所在地 〒815-0032 福岡市南区塩原3-13-16
TEL 092-501-9798
FAX 092-575-1213
URL http://www.swc-jp.com
創業 1963年
設立 1973年3月
資本金 1500万円
事業内容 業務用製氷機、冷熱機他の製造販売
従業員 14人

(ふくおか経済EX2012年)