FEATURE

ふくおか経済EX 2016

㈲久松


おせち販売数13万個突破 商品開発力に磨きかける

昨年入社した同社初の新卒社員と。写真中央が松田健吾常務

インターネットを中心におせちの販売を伸ばしてきた久松。近年はDMなど通信販売でも成長を見せ、2015年末は前年比2割増の13万2000個を販売。一方で、おせち事業に代わる新たな商品開発や人材マネジメントにも力を注ぐ。

DM戦略で自社販売1万1000個に伸長

「博多美味いもの便 博多久松」は、同社がインターネット販売(EC)黎明期だった2004年から開始した事業だ。参入初年度90個だったおせちセットの販売数は年を重ねるごとに増え、直近の15年は前年比2割増の13万2000個を販売した。
その活躍は各方面で評価され、2013年には国内最大規模のオンラインモール「楽天市場」が、4万2000店舗の中から年間優秀店舗を表彰する「ショップ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。連続受賞は極めて難しいとされる中で、同社は3年連続グルメ部門ジャンル賞を受賞している。
「注力してきたダイレクトメールを中心とした通信販売が、近年の成長を支えている」と話すのは松田健吾常務。おせちセットを販売開始する9月から、過去に同社のおせちセットや惣菜を購入したユーザーにカタログを送付するが、近年は発送数を増やしたことで、今年は自社販売分だけで1万1000個に達した。「ECに頼らない、自社での販売チャネルを構築できれば、事業の幅がさらに広がっていく」と力強く語る。

同社主力商品のおせちセット 今年3月に発売した「プレミアムオードブルセット」(7〜9人前 税込み1万4000円)

「プレミアムオードブルセット」第二の柱に

主力のおせちセットに続く、新商品の開発についても、同社では日々力を注ぐ。特に着目するのは、昨年3月に発売した「久松謹製 お食い初めセット」を始めとする、家庭内のさまざまな行事に照準を当てた商品。おせちセットで培ったノウハウや開発技術を生かし、消費者が「あったら嬉しい」と思えるような商品づくりで、新たなニーズを発掘している。
今年3月に発売した「プレミアムオードブルセット」(4〜6人前 税込9500円)も、お祝い事や法事、イベントなどの場で活躍が期待できる商品だ。「スーパーや弁当店など、満足度が高い商品は少なかった。それらの店舗よりも価格は高いが、おいしさや高い品質をプレミア感とともに提供することで、十分に勝負できる」と、松田常務は自信をにじませる。
オードブルセットは花見や歓送迎会、打ち合わせなどオフィスでの需要も見込まれ、これまでおせちセットなど家庭用が中心だった同社商品の中でも、新たな強みを持つことになる。今後開発を予定している、お歳暮、お中元向け商品にも、家庭用だけでなく、オフィスユースの声をフィードバックしていくことで、開発力に磨きをかける。

コールセンター業務の内製化を強化しており、リクルートにも力を注ぐ

初の新卒4人が躍動

2014年に博多オフィスを構えて以降、次々と新たな方針を打ち出す同社。昨年は初の新卒枠で4人が入社し、新たな組織づくりにまい進している。
昨年5月からは、楽天㈱(東京都)が実施するプログラム「楽天IT学校」に参加し、直方市の大和青藍(やまとせいらん)高校の2・3年生28人に商品企画やサイト運営などを指導。昨年末には学生が開発したおせちセットを実際に販売した。新入社員4人はその講義に携わったことで、「日々指導される新入社員が、高校生に教える側に立つ。貴重な経験が過ごせた1年間だった」と笑顔を見せる健吾常務。「これからも“食を通じたおもてなしの心を第一に”を実践できる人材を、一歩ずつ育てていきたい」と語った。

企業DATA
所在地 〒811-2304 糟屋郡粕屋町大字仲原2839-7
博多オフィス 〒812-0011 福岡市博多区博多駅前2-17-1 博多プレステージ別館 4F
TEL 092-260-1313
FAX 092-260-1880
創業 1982年(昭和57年)9月
設立 1986年(昭和57年)8月
資本金 300万円
事業内容 婚礼食材、お惣菜食材の製造・販売、おせち料理メニュー製造販売・提案
年商 17億円
代表者 松田久美子
従業員 40人(パート含む)
URL http://hisamatsucorp.jp/

採用情報
募集職種 製造、カスタマー、デザイン
応募資格 全学部全学科(四年制大学、短大、専門学校卒業見込み)
採用実績 2015年度4人、2016年度3人
採用予定 4〜5人
問合せ先 TEL.092-260-1330
担当 松田健吾、田村佳子

(ふくおか経済EX2016年)