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㈱福岡リアルティ
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福岡リート上場10年目、保有物件の投資タイプも多様化
(写真)福岡リート投資法人の保有物件。上・下左:キャナルシティ博多。下中央:北天神のオフィスビル「天神ノースフロントビル」。下右:3月に取得した鳥栖市の物流施設「鳥栖ロジスティクスセンター」
国内唯一の地域特化型リート「福岡リート投資法人」(資産運用会社・福岡リアルティ)。上場10年で運用資産規模を倍増させ、初の物流施設取得で保有物件の投資タイプの多様化を図る。今後は資産規模で2000億円を見据える。
資産規模上場時から2倍に
昨年に引き続き活況を呈する上場不動産投資信託(Jリート)市場。現在、44銘柄の上場リートがある。その中で国内唯一の「地域特化型リート」が福岡リート投資法人だ。
今年で上場10年目となる福岡リートは、投資エリアを福岡・九州に限定し、総合型リートとして「キャナルシティ博多」といった大型商業施設のほか福岡都心部のAクラスオフィスビル、住居、ホテルなど24物件を保有・運用している。2005年の上場時に735億円だった運用資産は1647億円(取得価格ベース)となり2倍以上に拡大した。保有する24物件はいずれも高い稼働率を維持しており、13年8月期(当期23物件保有ベース)でみると、期末稼働率は98.8%。この10年間をさかのぼってみても、保有物件の期末稼働率が97%を下回ったことは一度もない。これらを受けて、福岡リートの分配金は、上場リート中でもトップクラスの実績が続いている。
鳥栖で物流施設を初取得
現在、福岡リートが目指しているのが運用資産規模を2000億円まで拡大することと、保有物件の投資タイプの多様化。3月28日には初めて物流施設(佐賀県鳥栖市)を12億5000万円で取得した。
施設名称は「鳥栖ロジスティクスセンター」で、高速道路の鳥栖ジャンクションに近接する同市の物流団地「グリーン・ロジスティクス・パーク鳥栖」内に位置するという好立地施設。食品倉庫として稼働しており、冷凍、冷蔵、常温の3温度帯に対応し、24時間操業も可能となっている。
物流施設の取得は以前から検討していたもので、引き続き、新しい投資タイプの検討も行っていく。
投資法人債発行、NISA対応で投資口分割も
資金調達の面でも新たな試みが実施された。昨年12月末に福岡リートとしては初めてとなる投資法人債を期間10年にて発行。20億円を調達し長期借入金の返済資金に充てた。資金調達方法でも多様化を図ることで金利上昇リスクやリファイナンスリスクの軽減を図る。
また、個人投資家への柔軟な配慮も講じている。3月から投資口を1口につき5口に分割(発行済投資口数は従来の13万8000口から69万口に増加)。今年から少額投資非課税制度(NISA)が導入されたことを受け、分割により1口あたりの投資金額を下げて、投資家層の拡大と投資口の流動性向上につなげる考えだ。
地元の次世代人材育成を支援
一方、福岡リートの資産運用会社である㈱福岡リアルティはCSR活動にも積極的だ。
一昨年にベンチャー支援の㈱ドーガン・アドバイザーズと起業家支援サロン「九州アントレプレナークラブOnRAMP」を天神に設立。この4月、赤坂に移転し、引き続き九州の起業家育成に取り組んでいる。
また、福岡大学において全国でも珍しい不動産証券化の寄付講座を実施。福岡リートの“地域特化”に歩を合わせるように、次代を担う人材支援で地元貢献を推し進める。
松雪 恵津男 福岡リアルティ社長 まつゆき・えつお/1955年、佐賀県生まれ。東京大学法学部卒。80年日本開発銀行(現㈱日本政策投資銀行)入行。09年7月に福岡地所入社。執行役員経理部長兼総務部・財務部担当などを務め、11年6月から福岡リアルティ常務を務めていた。12年6月に社長就任 |
企業DATA
㈱福岡リアルティ
所在地 〒812-0018 福岡市博多区住吉1-2-25
TEL 092-272-3900
FAX 092-272-3950
URL http://www.fukuoka-realty.jp
創立 2003年12月
資本金 2億円 事業内容福岡リート投資法人の資産運用(不動産等の取得、運用、資金調達など)
代表者 松雪恵津男
従業員 38人(2014年2月28日現在)
福岡リート投資法人
上場日 2005年6月21日
銘柄コード 8968(東京証券取引所、福岡証券取引所)
決算期日 毎年2月末日、8月末日
URL http://www.fukuoka-reit.jp
※日興アイ・アール㈱による「2013年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」で最優秀賞を受賞
※大和インベスター・リレーションズ㈱による「2013年インターネットIR表彰」で優良賞を受賞
(ふくおか経済EX2014年)