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㈱新出光
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“第2創業期”と位置付ける新中期3カ年計画をスタート
『ターゲット100』プロジェクト始動
今年3月に創業84周年を迎えた㈱新出光は、全国約460カ所のサービスステーション(SS)を基盤に、IDEX(イデックス)グループとして関連企業15社を擁して「カーライフ」「エネルギー」「ライフスタイル」の3つの分野で地域に密着した幅広いサービスを展開してきた。近年、将来的な石油需要の減少が予測される中、08年4月には2026年の創業100周年に向けて、非石油事業の売上比率を現在の20%から50%にまで引き上げる『ターゲット100』プロジェクトを立ち上げ、「事業ポートフォリオの変革」による収益構造の大改革を打ち出した。
10年度からスタートする新たな中期3カ年計画では、この3年間を“第2創業期”と位置付け、従来のビジネスの手法を抜本的に見直し、“本当の意味で顧客に選ばれる会社”づくりを目指している。それと同時に全社一丸となって、近年力を入れる太陽光発電システムをはじめとするニュービジネスに果敢に挑もうとしている。
460カ所のSSを基盤に、3つの分野で事業拡大
現在では売上高3070億円(09年3月期)、1人当たりの売上高は実に約5億円にのぼるが、振り返るとその歴史は決して平坦ではなかった。1926(大正15)年に石油販売業として産声を上げた同社は、激動の昭和史、そして日本のモータリゼーションの進展とともに歩んだ。戦争、敗戦という未曾有の困難の中に翻弄されるも、戦後は55(昭和30)年3月に新出光石油㈱として再スタートを切ると、高度成長、技術革新の中での石油需要の飛躍的増加に伴い大きく成長。89(平成元)年4月には石油業界の大きな変化に対処すべく、関係会社の新光商事㈱を吸収合併し㈱新出光を発足、マーケティング名称の「IDEX」を導入した。
2000年3月には業界初のISO9002認証を全社一括で取得するなど、約460カ所のSSを有する九州のトップディーラーとして、また産業や家庭など幅広い分野へ石油やLPガスを安定供給する全国有数の総合エネルギー商社として、業界をリードする存在となった。
近年は、SSの展開をはじめ自動車整備・車検、新車中古車販売・買取、ベンツ車の販売、カーリース、レンタカーなどの「カーライフ」分野や、社会・産業・家庭と幅広い分野へエネルギーを安定供給する「エネルギー」分野に、保険代理、レンタルビデオ、人材派遣、事務用品・OA機器販売などオフィスや家庭で暮らしと繋がる「ライフスタイル」分野を加えた3つの領域で事業を拡大している。特に01年4月からは「ソリューション(提案型)営業」に力を入れ、グループの総合力を生かした展開を図っている。
太陽光発電システム事業を強化
同社では10年度からスタートする新中期3カ年計画の達成に向けて、4月1日付で組織を改編。新商材を含めた多岐にわたる商材を、より地域に密着して営業展開を図るために既存の組織の枠を超えた連携をとりながら、各エリアの責任者が存分に采配を振るえる組織にした。また、本社と支店の機能切り分けを見直し、業務執行に関する権限は極力支店に委譲し、本社はスタッフ業務に特化することでスリム化を図っていく。この改編は、もともと「自主自営の精神」を経営理念としてきた同社にあって、自発的、自立的人財育成を促す組織への転換を図ったものだ。
また改編で顕著になったのが、今後需要拡大が見込まれる太陽光発電システム事業をその新たな柱の一つと位置付けている点だ。今回、担当部署の新エネルギー課を「ソーラー事業課」に改称し、営業本部長直轄にしたほか、課員18人のうち8人を九州の8支店に専任要員として配置するなど、さらに地域に密着した営業強化が鮮明となった。
同社の太陽光発電システム事業は、06年に新エネルギー課において販売開始。当初担当社員は2人だったが、順次増員し、08年秋に16人体制まで拡充。昨年9月には、太陽光発電システム施工で技術的評価の高い、熊本市の㈱エネルギーテクノサービスがグループ会社として参画し、販売から施工に至る一貫体制を構築した。同12月には、一般需要開拓を期し、大型SC「ゆめタウン行橋」(行橋市)と「ゆめタウンサンピアン」(熊本市)内に太陽光発電やオール電化のショールーム「ECO PLAZA(エコプラザ」をオープンしている。
さらに今年1月には太陽光発電のテレビCMも開始。このほか、総合リース最大手の㈱オリックスと協業で、初期投資がなくグリーン施設が導入できる「太陽光発電ESCO事業」を九州で初めて開始した。今年4月の改正省エネ法施行や今後拡充が期待される国の助成金などによる需要拡大を注視しながら、今後はWebを活用した営業も本格化し、一般向け、産業向けそれぞれにグループの総合力を結集して拡販を図っていく方針だ。
レンタカー事業、全国展開へ
非石油事業の一翼を担うグループ会社においては、㈱新出光バジェット・レンタリースが昨年2月、米国バジェット社と日本におけるバジェット・レンタカーブランドのビジネスに関して独占的代理店に相当する「マスターライセンス契約」を締結。若者の車離れやカーシェアリングといった社会的背景を見据え、今後は同社が同ブランドで全国にフランチャイズ展開を図っていく。また、これらのほか燃料電池やバイオガスエネルギーなど次世代エネルギーの取り組みや、リサイクル事業や宅配事業など、地域に根ざしたニュービジネスも動き始めている。
もちろん、現在の基幹事業は石油販売業であり、同社の原点は地域に密着し、最終消費者と直結したSSだ。今後も、石油事業はもちろん、非石油事業も「顧客がIDEXを選んでくださるものを」といった観点でそれぞれの事業を拡大していき、100周年に向けた収益構造改革に道筋をつけていく方針だ。
出光 芳秀 社長 いでみつ・よしひで/福岡市出身。1937(昭和12)年4月26日生まれ。早稲田大学商学部卒。97年6月の社長就任以来、IDEXグループを率いる |
企業DATA
所在地 〒812-0036 福岡市博多区上呉服町1-10
TEL 092-291-4134
FAX 092-271-0958
創業 1926年3月
設立 1955年3月
資本金 5億円内容 石油製品の販売
年商 3,054億円(09年3月期)
代表者 出光 芳秀
従業員 634人
出先(支店)九州6ヵ所、東京、 名古屋、大阪、広島 (SS)直営137 特約店326計463カ所
関連会社 ㈱新出光バジェット・レンタリース、㈱シュテルン福岡など15社
URL http://www.idex.co.jp
採用情報
募集職種 営業総合職
応募資格 全学部全学科
採用実績 09年度28人(大卒16人、高卒12人) 10年度13人(大卒8人、高卒5人)
問合せ先 0120-376-182
担当 人事部 人事課
(ふくおか経済EX2010年)