FEATURE
㈱九電工
Tag:
「人財」育成の拠点、新教育センター建設に着手
(写真)新研修センターイメージ(俯瞰)
2012年新人研修から運用開始
九電工は2010年末、「新教育センター」の建設に着手した。現教育センター(筑紫野市)の老朽化が進み、手狭になっているためで、また中期経営計画の柱の一つに掲げる「将来を担う“人財”の育成や開発」に対応する、総合的な人財育成の拠点と位置付けている。
来年4月の新入社員研修から運用を予定しており、佐賀県三養基郡基山町の同社研究開発センター隣接地に約2万㎡の敷地に研究棟、実習棟、宿泊棟のほか、屋内に全天候型の配電実習場も備える。
施設の面積は現教育センターの2倍以上で、宿泊棟のキャパシティは最大380人超。新入社員研修とその他の研修の同時実施が可能になり、現場のスケジュールに合わせた研修サイクルを組むことができる。また鳥栖ジャンクションも程近く、災害復旧活動の拠点としても利用価値が高い。
建物には、通風や日射コントロール機能、自然エネルギーである地熱を利用した「クールトレンチ」、冷温水を利用した輻射熱冷暖房など最新の環境技術を採用するほか、エネルギーがどのように使われているかリアルタイムで確認できる「見える化」のシステムも導入。同社の環境技術に関する広告塔の役割としての期待もある。
また「庵」的な別棟も併設し、座禅や瞑想、法話などを通して社員の志・人格形成を促す「道場」とする。橋田紘一社長は「新入社員だけでなく、5年、10年といった一定のタームで精神的な訓練をしたい。また同期同士や、新人と先輩社員などが集まって、情報交換をして切磋琢磨したり悩みを相談したりできる、交流の場としても提供したい」と、社員の教育・育成における自発的・相乗効果的な面での活用にも期待する。
橋田社長は就任以来、「人が財(たから)」を基本理念として社員の教育研修制度、人事制度等を組み上げている。それは「“材”は消耗品だが、“財”は増やし、育み、磨き上げることができる。まさに社員一人一人の技術力や営業力や人間力が企業価値を高め、九電工ブランドに輝きをもたらす」という思いだ。
社員の教育・研修には当然コストを伴う。今回の設備投資しかり、長期間にわたる現場社員の研修自体もしかり。しかし橋田社長は「当社のように労働集約型の企業は、人を財にし、会社を維持発展させていくために必要な投資と捉えて、新教育センターを十分に活用していきたい」と抱負を語る。
配電実習場イメージ。電柱を立てる場内はビル3階分くらいの高さがある |
ベイサイドは「常に人が集まる」施設に
同社グループで運営する「ベイサイドプレイス博多」は、昨年3月の開業から1年が過ぎた。来場者数は、1月末時点で175万人に上り年間目標の150万人を突破。橋田社長は「これはベイサイドをご利用いただいたお客様や関係各位のおかげ」と感謝の意を表す一方で、「平日と夜間の集客はまだ不十分。今後は平日、休日、夜間を問わず、常に人が集まり活気にあふれる施設づくりを目指す」という。
具体策としては、まず施設の核店舗で好評を博している「博多松金市場」を、より活気あふれる市場の雰囲気を高めて個人客が増えるよう、松金市場と協議しながら店舗構成も再検討していく。また団体客についても、バスツアー客や海外クルーズ船の乗客などを対象に増強を図る。さらに、施設全体のアピール度を高めるため夜間のイルミネーションを設置することなどを挙げている。
3月27日には、福岡の官民が一体となって進めてきた那珂川の水上バスが運航を開始。1日6往復、ベイサイドプレイス博多と天神中央公園を結んでいる。橋田社長は「これを契機に、活気が戻ってきたベイサイドプレイスがより賑わうよう魅力ある施設づくりに取り組み、博多港ウォーターフロントエリア全体の活性化に貢献していきたい」と意気込みを見せる。
加えて「博多港は、空港や駅が近くにある交通アクセスの良さや、その形状など、規模こそ異なるものの世界有数の港であるオーストラリアのシドニーに似ており、港湾として優れたポテンシャルを持っている」と見ており、「整備してウォーターフロントの魅力が高まれば、アジア各国や国内航路で賑わい、観光客もより多く取り込める、世界に冠たる港になりうる。そのためにも産学官民連携でグランドデザインを描いてウォーターフロントの整備に取り組んでいくべき」と提言する。
今年の別大マラソンで日本人トップとなった前田和浩選手 |
陸上競技部の活躍に期待
九電工は地域貢献の目的でさまざまなボランティア活動に力を入れており、その一環として昨年4月、「九電工こどもスポーツ教室」を開催した。同社のシンボルスポーツで、全国レベルで活躍する男女陸上競技部の選手とふれ合える機会はこどもたちに大好評で、「陸上競技に興味を持つだけではなく、自分たちもこうなりたいという夢を描くことができる。教育の一環としてもスポーツは好ましく、われわれのボランティア活動のメーンの一つにしたいと考えており、今年も4月16日に開催する」と、今後も継続していく意向だ。
男女陸上競技部では、「全国制覇」を目標に据えて日々の鍛錬に励んでおり、今年は目覚ましい活躍を見せている。男子陸上競技部はこの1月、朝日駅伝で5年ぶり3度目の優勝を果たし、今回で幕を閉じた同大会の最後の覇者になった。また、女子部も同月、選抜女子駅伝 北九州大会(一般の部)で第3位、九州勢では1位と健闘。続いて2月の別府大分毎日マラソンでは前田和浩選手が日本人トップの3位でゴールした。
橋田社長は「これから世界陸上の各種目選考レースが開催されるので、前田選手や走り幅跳びの桝見咲智子選手など前回のベルリン大会に出場した選手以外にもぜひ頑張ってもらって、皆さんの応援に応えてほしい」と期待を寄せている。
橋田 紘一 社長 はしだ・こういち/福岡市出身、1942年9月29日生まれの68歳、県立修猷館高校—慶應義塾大学経済学部卒業。66年九州電力㈱入社、91年熊本支店次長、93年経理部次長、96年宮崎支店長、97年理事宮崎支店長、98年理事総務部長、01年常務取締役、07年6月㈱九電工社長就任。趣味は柔道・音楽鑑賞 |
企業DATA
所在地 〒815-0081 福岡市南区那の川1-23-35
TEL 092-523-1691
TEL 092-524-3269
創業 1944年12月
資本金 79億188万円
事業内容 総合設備工事業
年商 2,258億9,100万円(2010年3月期連結)
代表者 橋田紘一
従業員 5,733人(2010年5月末現在)
出先 東京本社、福岡、北九州、大分、宮崎、鹿児島、熊本、長崎、佐賀、大阪、沖縄
関連会社 ㈱キューコーリース、九州電工ホーム㈱、㈱昭電社他
URL http://www.kyudenko.co.jp
(ふくおか経済EX2011年)