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㈱九電工
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新エネルギー事業を積極展開、「V字回復」へ
従来から蓄積してきた技術力をベースに太陽光発電を急速に推進して大幅に業績を回復。さらに海外拠点設置や介護事業への参入など今後の事業拡大に向けた布石も着実に打つ。一方では、組織再編で生産性を強化、残り2年となった中期経営計画の仕上げに取り組む。
新エネルギー市場をさらに開拓
平成24年度、業績を大幅に向上した。昨年から掲げてきた「V字回復」のけん引役となっているのが、太陽光発電など再生可能エネルギービジネスだ。
昨年7月の全量買取制度スタートが追い風となって、さまざまな方面からの参入が続いているが、従来から風力発電事業に携わってきた同社にとっては得意分野。昨年7月には7社共同で最大規模のメガソーラーを運営する鹿児島メガソーラー発電㈱を立ち上げたのを皮切りに、単独でも次々と太陽光発電事業に着手、平成24年度中に合計4万kw超の規模に達している。現在も次々に新規案件をスタートさせているため、「平成25年度中には6万kwに拡大する見通しで、さらに風力発電も昨年まで2万kw程度だったものが4万kwほどに増える」(橋田社長)と予想している。
今年度は買取価格の引き下げも検討されているが、橋田社長は「ソーラーパネルの低価格化などもあり、コスト削減による収益性確保は十分に可能。また小水力、バイオマス、地熱といった他の再生可能エネルギーにもアプローチしていきたい」と、今後も積極的に新エネルギーのマーケットを開拓していく考えだ。
さらに同社は、新たに介護分野にも参入を計画している。従来からグループで取り組んでいる医療分野との連携、人材の育成・供給も視野に入れ、今後、柱となる事業のひとつとすべく、中長期の具体的な数値目標も設定して介護施設運営の準備を進めている。
東南アジアで事業展開を本格化
また同社は、平成24年度から東南アジアへの進出にも力を入れ始めている。昨年9月にマレーシア、11月にベトナム、そして今年度にはインドネシアに現地法人を設立予定。新年度から本格的に海外事業をスタートさせる。
橋田社長は「国内外でニーズが高まっているエコ事業にも力を入れたい。他の大手同業者よりも後発の当社としては、ゼロからのスタートで立ち上げていく事業とともに、すでに現地で事業展開している会社をM&Aで取得するなどして、迅速な展開を図っていく」構えだ。
また、これら事業会社を統括する会社も近々現地に立ち上げる方針で、この統括会社を中心に置いて、東南アジア域内でビジネスの可能性がある国・地域への広域展開を目指している。
生産性向上を目指し組織改革
現在同社は、本社組織の大改革に取り組んでおり、戦略的機能強化、業務の集約・効率化を目的に4月1日から6事業本部33部室を4事業本部23部室に再編し、指揮命令系統を簡素化、スピードアップを図る。加えて本社人員のスリム化を目指しており、生産ラインへのシフトを進める考えだ。
生産性を高めるという方針のもと、本社・各支店や海外、グループ会社で、現場業務の第一線の強化や新規事業への取り組みで必要となる要員として再配置。またグループ会社間の人事交流や効率化も図っていくという。
中計“後半戦”に向け収益体質定着を
平成25年度は5カ年の中期経営計画の4年目。橋田社長は「中計での取り組みとして挙げていた、人財育成、グループも含めた組織再編、海外進出、6次産業等新規事業への取り組みなどには、ほぼ手を付けることができた」と振り返り、「今後、まず既存事業の配電、電気、空調管工事では、コスト面などの競争力をより強めて確実に利益を出せる体質を定着させる。エコ事業ではアグリゲータやスマートシティ関連などもさらに取り込んでいきたい」と中計の「仕上げ」に向けた決意を語る。
橋田 紘一(はしだ・こういち)社長 福岡市出身、1942年9月29日生まれの70歳、県立修猷館高校―慶應義塾大学経済学部卒業。趣味は音楽鑑賞 |
〈企業DATA〉
所在地 〒815-0081 福岡市南区那の川1-23-35
TEL 092-523-1691
FAX 092-524-3269
URL http://www.kyudenko.co.jp
創業 1944年12月
資本金 79億188万円
年商 2,466億円(2012年3月期連結)
従業員 5971人(2013年2月末現在)
事業内容 総合設備工事業
出先 東京本社、(支店)福岡、北九州、大分、宮崎、鹿児島、熊本、長崎、佐賀、関西、沖縄
海外 マレーシア、ベトナム
関連会社 九州電工ホーム㈱、㈱昭電社 他
(ふくおか経済EX2013年)